旅館・ホテルのプレスリリースの書き方と送り先(素材の探し方・8つの要素・送ったあとの電話1回)

プレスリリースは、新聞社やテレビ局などの媒体に記事や番組の材料として送る資料です。取材で紹介されると、広告では届かない人に宿の名前が届きます。この記事は、素材の探し方から掲載後の使い方までの手順です。9つの施策の全体と立ち上げる順番は、「旅館・ホテルの集客方法9つと、立ち上げる順番|長野と北海道の宿でやっている全手順」にまとめています。

旅館・ホテルのプレスリリースの書き方と送り先(素材の探し方・8つの要素・送ったあとの電話1回)
FIELD — RYOKAN / JAPAN  ·  松川館のサウナ
この記事の要点
1
創業年や事業の引き継ぎのように、続いていることと変わった経緯は記事の素材になります。
2
素材を1行にまとめてから8つの要素でプレスリリースを書き、地元の媒体から順に送ります。
3
送ったあとの電話は1回にとどめ、掲載されたら5か所で使い切ります。

創業140年や事業の引き継ぎも、記事の素材になる

取材で紹介された記事や番組は、宿が自分で出す広告と違って、第三者の目を通した情報として読まれます。素材を探して送る手間のほかに、費用はかかりません。

「話題がないから、記事にならない」と思い込むのは、よくあるつまずきです。何年も続いていることや変わった経緯は、それ自体が記事の素材になります。

私たちが2026年に引き継いだ松川館なら、「創業140年」と「事業の引き継ぎ」を素材にできます。クラウドファンディングで累計1,000万円を超える支援をいただき、サウナを2棟建てた出来事も、同じように素材に使えます。

素材は、宿の中にいると当たり前すぎて気づきにくいものです。この記事では松川館の掲載の例を紹介してから、素材を探して送る手順を書きます。

松川館はBRUTUSや信濃毎日新聞に取り上げられた

松川館は、これまでに次の媒体に取り上げられました。

種類 媒体
雑誌 BRUTUS・女性自身・週刊SPA!
新聞 信濃毎日新聞
テレビ 長野放送・テレビ信州

このほかに、AbemaTV・長野朝日放送・SBC信越放送・読売新聞長野支局・旅行読売・じゃらん編集部などの取材を受けています。

どの掲載がどの連絡から生まれたかは書かずに、ここからは送る側の手順を書きます。

5つの問いで素材を探し、1行で言えるようにする

素材は、次の5つの問いに答えを書き出して探します。紙に1問ずつ書き、思いつく答えを全部並べてください。

問い 答えを探すところ 松川館で書き出した例
何年続いているか 創業年・建物の築年数 創業140年
数が少ないものはあるか 客室数・1日の組数・この地域で唯一のもの 全9室
変わった経緯はあるか 引き継いだ・建て直した・業態を変えた 2026年に事業を引き継いだ
人に驚かれたことは何か お客様が写真を撮る場所・必ず聞かれること 宿ごとに書き出す
地域との関わりは何か 地元の食材・祭り・職人との仕事 宿ごとに書き出す

書き出したら、いちばん強い素材を1つ選びます。ほかの宿になく、年や数で言えるものを優先します。

選んだ素材は、「地域名の○○な宿が、△△をしています」の型で1行にまとめます。この1行が、媒体に渡す最初の言葉になります。

松川館なら、「山田温泉で創業140年の宿が、事業の引き継ぎを経て営業再開の準備をしています」のように1行で書きます。

タイトルから問い合わせ先まで、8つの要素で書く

プレスリリースは、A4で1枚から2枚にまとめます。次の8つの要素を、この順番で書きます。

要素 書くこと
1 タイトル この宿で何が始まるのかを、1行で書きます。
2 リード 5行以内で、要点をすべて書きます。
3 背景 なぜこれをやるのかを書きます。
4 内容 何を・いつから・いくらで始めるのかを書きます。
5 写真 切り抜いていない大きな画像を、3枚以上入れます。
6 数字 客室数・創業年・価格など、確かめられる数字に限って書きます。
7 代表者の一言 なぜ始めるのかを、代表者の言葉で短く書きます。
8 問い合わせ先 担当者名・電話番号・メールアドレスを書きます。

書けない項目は、無理に埋めないでください。数字を1つでも盛ると、その媒体からの信用は戻りません。

下は、8つの要素をそのまま埋められるひな形です。○と△の部分に、自分の宿の言葉を入れて使います。

プレスリリースのひな形(A4で1枚から2枚)

【タイトル】○○県○○町の創業○年の宿が、○月から△△を始めます

【リード】○○県○○町の旅館「○○」は、○年○月○日から△△を始めます。△△は、○○のための取り組みです。(ここまでを5行以内に収めます)

【背景】なぜ、いま△△を始めるのか。宿の歩みや、お客様から伺った声をもとに書きます。

【内容】名称/開始日/料金(税込)/申し込み方法

【写真】写真1から写真3まで。それぞれに、何が写っているかを1行で添えます。

【数字】客室数○室/創業○年/料金○円(税込)

【代表者の一言】「○○」旅館○○ 代表 ○○

【問い合わせ先】旅館○○ 担当:○○ 電話:○○ メール:○○

松川館のプレスリリースは、見本のPDFで読めます。

地元の新聞社から順に、メールと電話1回で送る

書いたプレスリリースは、全国の媒体より先に地元の媒体へ送ります。地元で紹介された実績が、次の媒体に送るときの材料になるからです。

送り先は、次の順番で積み上げます。

1
地元の新聞社。宛先は、地域面を担当している記者です。
2
地元のテレビ局。情報番組を作っている制作部に宛てて送ります。
3
県や市町村の観光の窓口。地域の観光の情報を扱う担当者に届けます。
4
地域の情報サイト。地域の出来事を載せているサイトに送ります。
5
旅の専門誌。地元で紹介された実績を添えて送ります。
6
全国の雑誌やテレビ。ここまでの掲載を実績欄に並べてから送ります。

この順番で、送り先を20件書き出します。送り先の名前・担当の部署・連絡先を1枚の表にまとめておくと、送った日と電話した日も記録できます。

送り先 種類 担当の部署 メールアドレス 電話番号 送った日 電話した日
(例)○○新聞社 ○○支局 地元の新聞社
(例)○○テレビ 地元のテレビ局

※記入用の表です。20件になるまで行を足してください。

メールの件名と本文は、10行以内の型で書く

件名は「【○○県・地域名】創業○年の宿が、△△を始めます」の形にします。本文は10行以内にまとめ、プレスリリースはPDFで添付してください。

プレスリリースに入れた写真のうち2枚は、メールで送れる容量まで軽くしてから、PDFとは別に添付します。印刷に使える大きな画像(撮ったままの元の画像)は、求められたらすぐに送れるように手元に用意しておきます。

メールの見本

件名:【○○県・○○温泉】創業○年の宿が、○月から△△を始めます

○○新聞社 ○○支局 ご担当者様

突然のご連絡を失礼いたします。

○○町で旅館「○○」を営んでいる、○○と申します。

このたび当館で、○月から△△を始めることになりました。

△△は、○○のための取り組みです。

詳しい内容は、添付のPDFにまとめております。

写真は、軽くしたものを2枚添付いたしました。

印刷用の大きな画像も、ご用意しております。

ご関心をお持ちいただけましたら、下記までご連絡ください。

旅館○○ ○○(電話:○○/メール:○○)

送ったあとの電話は、3日から5日後に1回

メールを送ってから3日から5日たったら、1回だけ電話をかけます。話す内容は、「お送りした資料は届いていますでしょうか」という確認でじゅうぶんです。

何度も電話をかけると、かえって見送られやすくなります。反応がないときは、次の季節に別の素材で送ってください。

掲載はサイト・SNS・LINEなど5か所で使い切る

掲載されたら、その記事や番組を次の5か所に載せます。宿の側から知らせなければ、掲載を知らないままの人のほうが多いからです。

1
公式サイトのトップ。掲載された媒体の名前を、トップページに並べます。
2
公式サイトのお知らせ。いつ、どの媒体に載ったかを書きます。
3
SNSでの報告。掲載されたことを、媒体の名前と掲載日とあわせて投稿します。
4
公式LINEでの配信。泊まったことのある方にもお知らせします。
5
次のプレスリリースの実績欄。地元から全国へ積み上げるときの材料にします。

誌面の写真や記事の文章を載せるときは、先に媒体に使ってよい範囲を確かめます。媒体の名前と掲載日を書くところまでなら、すぐに始められます。

売り込みの文面や小さい写真など、4つのつまずき

プレスリリースでは、次の4つのつまずきがよく起きます。

1
話題がないと思い込む。創業年と変わった経緯は、どの宿でも素材として書き出せます。
2
売り込みの文面で送る。広告の申し込みと受け取られて、開いてもらえません。事実を短く書きます。
3
1回送って終わりにする。季節ごとに別の素材を作って送り、媒体との接点を途切れさせないようにします。
4
写真が小さい。印刷に使えない写真は、その時点で見送られます。加工していない元の画像を送ります。

写真がそろっていない宿は、送る前に写真を撮る

手元の写真が小さい宿や、大きな写真が3枚以上そろわない宿もあります。その場合は、送る前に外観・客室・料理などの写真を撮りそろえます。

メディアPRのチェックリスト

□
5つの問いに答えて、素材を書き出した
□
いちばん強い素材を、1行にした
□
プレスリリースを、8つの要素で書いた
□
大きな写真を3枚以上そろえた
□
送り先のリストを20件作った
□
地元の媒体から順に送った
□
3日から5日後に、1回だけ電話した
□
掲載を、5か所で使い切った

資料「脱OTAの全手順|宿の自社集客 9つの実践マニュアル」では、このチェックリストを含む9章分(チェックリスト70項目・全31ページ)を印刷できるPDFでお送りします。

よくある質問

プレスリリースは、どこに送ればよいですか。

地元の新聞社から順に送ります。地元のテレビ局・観光の窓口・地域の情報サイト・旅の専門誌と広げ、全国の雑誌やテレビは最後にします。

写真は、何枚用意すればよいですか。

プレスリリースには、切り抜いていない大きな写真を3枚以上入れます。メールには、そのうち2枚を軽くして添えます。

同じ媒体に、何度も送ってよいですか。

季節ごとに素材を変えて送るのは、問題ありません。送ったあとの電話は、1通につき1回にとどめます。

プレスリリースを送るのに、費用はかかりますか。

自分で書いて送る場合、費用はかかりません。かかるのは、素材を探して書き、送る手間です。

送っても反応がないときは、どうすればよいですか。

まず、素材が1行で言えるかを見直します。次に、件名に地域名と創業年が入っているかと写真の大きさを確かめます。そのうえで、次の季節に別の素材で送ります。

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