プレスリリースは、新聞社やテレビ局などの媒体に記事や番組の材料として送る資料です。取材で紹介されると、広告では届かない人に宿の名前が届きます。この記事は、素材の探し方から掲載後の使い方までの手順です。9つの施策の全体と立ち上げる順番は、「旅館・ホテルの集客方法9つと、立ち上げる順番|長野と北海道の宿でやっている全手順」にまとめています。
取材で紹介された記事や番組は、宿が自分で出す広告と違って、第三者の目を通した情報として読まれます。素材を探して送る手間のほかに、費用はかかりません。
「話題がないから、記事にならない」と思い込むのは、よくあるつまずきです。何年も続いていることや変わった経緯は、それ自体が記事の素材になります。
私たちが2026年に引き継いだ松川館なら、「創業140年」と「事業の引き継ぎ」を素材にできます。クラウドファンディングで累計1,000万円を超える支援をいただき、サウナを2棟建てた出来事も、同じように素材に使えます。
素材は、宿の中にいると当たり前すぎて気づきにくいものです。この記事では松川館の掲載の例を紹介してから、素材を探して送る手順を書きます。
松川館は、これまでに次の媒体に取り上げられました。
| 種類 | 媒体 |
|---|---|
| 雑誌 | BRUTUS・女性自身・週刊SPA! |
| 新聞 | 信濃毎日新聞 |
| テレビ | 長野放送・テレビ信州 |
このほかに、AbemaTV・長野朝日放送・SBC信越放送・読売新聞長野支局・旅行読売・じゃらん編集部などの取材を受けています。
どの掲載がどの連絡から生まれたかは書かずに、ここからは送る側の手順を書きます。
素材は、次の5つの問いに答えを書き出して探します。紙に1問ずつ書き、思いつく答えを全部並べてください。
| 問い | 答えを探すところ | 松川館で書き出した例 |
|---|---|---|
| 何年続いているか | 創業年・建物の築年数 | 創業140年 |
| 数が少ないものはあるか | 客室数・1日の組数・この地域で唯一のもの | 全9室 |
| 変わった経緯はあるか | 引き継いだ・建て直した・業態を変えた | 2026年に事業を引き継いだ |
| 人に驚かれたことは何か | お客様が写真を撮る場所・必ず聞かれること | 宿ごとに書き出す |
| 地域との関わりは何か | 地元の食材・祭り・職人との仕事 | 宿ごとに書き出す |
書き出したら、いちばん強い素材を1つ選びます。ほかの宿になく、年や数で言えるものを優先します。
選んだ素材は、「地域名の○○な宿が、△△をしています」の型で1行にまとめます。この1行が、媒体に渡す最初の言葉になります。
松川館なら、「山田温泉で創業140年の宿が、事業の引き継ぎを経て営業再開の準備をしています」のように1行で書きます。
プレスリリースは、A4で1枚から2枚にまとめます。次の8つの要素を、この順番で書きます。
| 要素 | 書くこと |
|---|---|
| 1 タイトル | この宿で何が始まるのかを、1行で書きます。 |
| 2 リード | 5行以内で、要点をすべて書きます。 |
| 3 背景 | なぜこれをやるのかを書きます。 |
| 4 内容 | 何を・いつから・いくらで始めるのかを書きます。 |
| 5 写真 | 切り抜いていない大きな画像を、3枚以上入れます。 |
| 6 数字 | 客室数・創業年・価格など、確かめられる数字に限って書きます。 |
| 7 代表者の一言 | なぜ始めるのかを、代表者の言葉で短く書きます。 |
| 8 問い合わせ先 | 担当者名・電話番号・メールアドレスを書きます。 |
書けない項目は、無理に埋めないでください。数字を1つでも盛ると、その媒体からの信用は戻りません。
下は、8つの要素をそのまま埋められるひな形です。○と△の部分に、自分の宿の言葉を入れて使います。
【タイトル】○○県○○町の創業○年の宿が、○月から△△を始めます
【リード】○○県○○町の旅館「○○」は、○年○月○日から△△を始めます。△△は、○○のための取り組みです。(ここまでを5行以内に収めます)
【背景】なぜ、いま△△を始めるのか。宿の歩みや、お客様から伺った声をもとに書きます。
【内容】名称/開始日/料金(税込)/申し込み方法
【写真】写真1から写真3まで。それぞれに、何が写っているかを1行で添えます。
【数字】客室数○室/創業○年/料金○円(税込)
【代表者の一言】「○○」旅館○○ 代表 ○○
【問い合わせ先】旅館○○ 担当:○○ 電話:○○ メール:○○
松川館のプレスリリースは、見本のPDFで読めます。
書いたプレスリリースは、全国の媒体より先に地元の媒体へ送ります。地元で紹介された実績が、次の媒体に送るときの材料になるからです。
送り先は、次の順番で積み上げます。
この順番で、送り先を20件書き出します。送り先の名前・担当の部署・連絡先を1枚の表にまとめておくと、送った日と電話した日も記録できます。
| 送り先 | 種類 | 担当の部署 | メールアドレス | 電話番号 | 送った日 | 電話した日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| (例)○○新聞社 ○○支局 | 地元の新聞社 | |||||
| (例)○○テレビ | 地元のテレビ局 |
※記入用の表です。20件になるまで行を足してください。
件名は「【○○県・地域名】創業○年の宿が、△△を始めます」の形にします。本文は10行以内にまとめ、プレスリリースはPDFで添付してください。
プレスリリースに入れた写真のうち2枚は、メールで送れる容量まで軽くしてから、PDFとは別に添付します。印刷に使える大きな画像(撮ったままの元の画像)は、求められたらすぐに送れるように手元に用意しておきます。
件名:【○○県・○○温泉】創業○年の宿が、○月から△△を始めます
○○新聞社 ○○支局 ご担当者様
突然のご連絡を失礼いたします。
○○町で旅館「○○」を営んでいる、○○と申します。
このたび当館で、○月から△△を始めることになりました。
△△は、○○のための取り組みです。
詳しい内容は、添付のPDFにまとめております。
写真は、軽くしたものを2枚添付いたしました。
印刷用の大きな画像も、ご用意しております。
ご関心をお持ちいただけましたら、下記までご連絡ください。
旅館○○ ○○(電話:○○/メール:○○)
メールを送ってから3日から5日たったら、1回だけ電話をかけます。話す内容は、「お送りした資料は届いていますでしょうか」という確認でじゅうぶんです。
何度も電話をかけると、かえって見送られやすくなります。反応がないときは、次の季節に別の素材で送ってください。
掲載されたら、その記事や番組を次の5か所に載せます。宿の側から知らせなければ、掲載を知らないままの人のほうが多いからです。
誌面の写真や記事の文章を載せるときは、先に媒体に使ってよい範囲を確かめます。媒体の名前と掲載日を書くところまでなら、すぐに始められます。
プレスリリースでは、次の4つのつまずきがよく起きます。
手元の写真が小さい宿や、大きな写真が3枚以上そろわない宿もあります。その場合は、送る前に外観・客室・料理などの写真を撮りそろえます。
資料「脱OTAの全手順|宿の自社集客 9つの実践マニュアル」では、このチェックリストを含む9章分(チェックリスト70項目・全31ページ)を印刷できるPDFでお送りします。
地元の新聞社から順に送ります。地元のテレビ局・観光の窓口・地域の情報サイト・旅の専門誌と広げ、全国の雑誌やテレビは最後にします。
プレスリリースには、切り抜いていない大きな写真を3枚以上入れます。メールには、そのうち2枚を軽くして添えます。
季節ごとに素材を変えて送るのは、問題ありません。送ったあとの電話は、1通につき1回にとどめます。
自分で書いて送る場合、費用はかかりません。かかるのは、素材を探して書き、送る手間です。
まず、素材が1行で言えるかを見直します。次に、件名に地域名と創業年が入っているかと写真の大きさを確かめます。そのうえで、次の季節に別の素材で送ります。
プレスリリースの作成と、媒体への持ち込みのご相談を承っています。支援の内容は、「旅館・ホテルの集客支援|OTA・公式サイト・SNS・広告など9つの施策を1社で運用」のページをご覧ください。
ご相談は無料です。Zoomで1時間ほど、お話を伺います。相談だけで終えていただいて構いません。