この記事は、旅館や宿の集客を担当している方に向けて書いています。世の中の「旅館 集客」の記事は、その多くが一般論です。私たちOne Ismは、長野県高山村で創業140年の旅館を自社で運営しています。この記事では、自分たちの旅館で実際にやって効いた集客方法を「効いた順」に、今日から動ける手順とつまずきどころまで具体的に解説します。
細かい話に入る前に、結論からお伝えします。私たちの旅館で効いた集客方法は、この順番でした。
この積み重ねで、売上は前年同月比240%になりました。最高月商は1,100万円です。ここからは、それぞれ何をやったのかを具体的に書いていきます。
株式会社One Ismは2023年7月設立、資本金100万円、代表は大橋祐哉です。地方創生とAIマーケティングの支援を仕事にしています。私たちには、4つの柱で成り立つビジョンがあります。
コンサルタントとして外から助言するだけでなく、自分たちが経営者として同じリスクを負う。これが私たちのやり方です。この記事に出てくる数字は、すべてこの旅館の実際の運用データです。よそから借りてきた成功事例ではなく、自分たちがいま経営している宿で起きたことを、そのまま書いています。
だからこそ、うまくいったことだけでなく、後半では失敗したことも正直に書いています。実際に手を動かして初めて分かった、つまずきどころも合わせて共有します。
最初に手をつけたのは、広告とSNSです。理由はシンプルです。いちばん早く結果が出るからです。
予約サイト(OTA)に頼りきりだと、手数料で利益が薄くなります。そこで私たちは、広告で自社の予約導線へ直接お客さまを集めました。
広告は「出して終わり」にしません。費用に対して売上がいくら返ったかを示す「ROAS」を、毎週見ながら運用します。効いている広告に予算を寄せて、効かない広告は止めます。この地道な繰り返しがすべてです。
この旅館では、月額30万円の広告費でROASは最高1,200%超を記録しました。広告費30万円に対して、売上で10倍以上が返ってきた計算です。
Before:OTA経由の予約が中心で、手数料負けにより利益が薄い状態でした。集客の主導権も、自社ではなくOTA側にありました。
After:広告×SNSで自社の予約導線に直接人を集める形へ切り替え、月額30万円の広告費で最高月商1,100万円・最高ROAS1,200%超を記録しました。集客の主導権を、自社に取り戻せた状態です。
私たちが主に使ったのは「Meta広告」です。InstagramとFacebookに出せる広告のことです。宿は写真で選ばれる商品なので、相性がいちばん良いと考えています。始める手順は5つです。
Meta広告マネージャでは、配信の目的を選ぶ画面があります。「トラフィック(クリック数を集める)」ではなく「コンバージョン(予約や問い合わせを増やす)」を選んでください。目的が違うと、Meta側のAIが最適化する対象そのものがずれてしまいます。クリックは増えても予約が増えない、という状態になりやすいのはここが原因です。
広告を続けるか止めるかは、感覚で決めません。私たちは、次の数字を目安にしています。
CTR(クリック率)が1%未満なら、写真か文言を差し替えます。広告が「刺さっていない」サインだからです。
逆にCTRが良いのに予約が増えないなら、原因は広告ではなくサイト側です。料金の分かりにくさや、予約までの導線を疑います。
フリークエンシー(同じ人への表示回数)が3を超えたら、新しいクリエイティブを足します。同じ広告の見すぎは、飽きられる合図です。
※これらは一般に通用する運用の目安です。宿の状況によって、最適な基準は変わります。
つまずき1:予算をかけたのに、成果が全然分からない。多くの場合、原因は計測タグの未設置です。予約完了ページまでの流れが計測されていないと、どの広告が本当に予約につながったのか分かりません。配信を始める前に、必ずテスト予約で計測が動いているか確認してください。
つまずき2:クリエイティブを増やしすぎて、逆に成果が伸びない。一度に10本以上を投入すると、予算が分散して1本あたりの学習が進まず、どれも中途半端な結果になります。まずは3〜5本に絞り、明確に成果が出たものから広げるほうが早く安定します。
広告×SNSで自社集客の柱を作るこの型は、旅館業に限った話ではありません。私たちが支援したスクール事業では、広告費46万円で月商387万円を達成しています。業種が違っても、計測してテストして調整するという考え方は同じです。
SNSは、宿のファンを育てる場所です。お湯や料理や山の風景を、飾らずに発信し続けました。その結果、SNSの総フォロワーは3万人を超えました。
続けるコツは、投稿の「型」を先に決めることです。私たちは「風景・料理・お湯・人」のような柱を決めて、順番に出しています。毎回ゼロから考えないので、現場が忙しくても続きます。
頻度の目安は週3本です。毎日がんばって1ヶ月で燃え尽きるより、週3本を1年続けるほうが強いです。
広告で「いま来る人」を集め、SNSで「いつか来る人」を育てます。この2つが、自社集客の柱になりました。
次に効いたのは、公式LINEです。旅館の売上は、新規のお客さまだけでは安定しません。一度泊まってくださった方に、もう一度選んでいただくことが大切です。
チェックインや館内のご案内で、公式LINEの登録をお願いします。これだけで、お客さまとの接点がチェックアウトで切れなくなります。
ポイントは「登録する理由」を用意することです。館内の案内が見られる。次回の案内が届く。お客さまにとっての便利があると、登録は自然に増えます。
使うのは「LINE公式アカウント」です。無料プランから始められます。開設したら、最初に整えるのは3つだけです。
同じ配信を全員に送るのではなく、お客さまがいまどの段階にいるかで内容を変えると、読まれやすくなります。来館前は、当日までの持ち物やアクセスの案内。滞在中は、館内イベントや食事時間のお知らせ。来館後は、季節の見どころや次回のご案内です。段階を分けるだけで、売り込み色を出さずに再来店のきっかけを作れます。
配信の中身は、読んでうれしいものを心がけました。季節の見どころや、料理のお知らせなどです。煽る配信は、宿のブランドを削ります。売り込みを控えるほど、かえって読まれるようになります。
頻度は月2〜3回までにしています。それ以上は、通知がうるさい存在になるからです。
見る数字は「ブロック率」です。配信のたびにブロックが目立って増えるなら、頻度か中身を見直します。
これは「登録した理由」と「配信の中身」がずれていることが原因です。館内案内が見たくて登録した人に、セールの案内ばかり送ると離れていきます。Before:配信のたびにブロックが目立って増えていた状態。After:お知らせ型の配信に絞り、頻度を月2〜3回に抑えたところ、ブロックの急な増加が落ち着きました。配信を始める前に、登録の入口で何を約束したかを思い出すことが大切です。
リピーターは、広告費ゼロで来てくださるお客さまです。ここを育てるほど、集客はどんどん楽になります。
3つめは、検索とGoogleマップです。宿を探す人は、必ずどこかで検索します。「地名+旅館」で調べたときに、ちゃんと見つかる状態を整えました。
私たちがやったことは、特別なテクニックではありません。
Googleビジネスプロフィールは、無料で使えます。マップと検索の両方に効く入口です。
最初にやるのは、オーナー確認です。そのうえで、写真・営業情報・宿の説明文を埋めます。写真は外観・客室・お風呂・料理をそろえます。お客さまが「泊まる前に知りたい」順です。
クチコミには、全件返信します。目安は2〜3日以内です。良いクチコミにも、厳しいクチコミにも、同じていねいさで返します。
週1回は「最新情報」を投稿します。季節の見どころや料理の写真で十分です。更新が続いている宿は、それだけで選ばれやすくなります。
公式サイト、Googleビジネスプロフィール、SNSのプロフィール欄。この3か所で、宿の名前や住所の書き方が微妙に違っている宿をよく見かけます。「株式会社」の有無、住所の番地の書き方、半角と全角の違いなど、細かいずれでも検索エンジンには別の情報として扱われることがあります。表記は必ず3か所で統一してください。作業自体は難しくありませんが、見落としやすい点です。
公式サイトは、無料の「Google Search Console」に登録します。どんな言葉で検索されて、何回表示されたかが見えるようになります。
見るのは月1回で十分です。「地名+旅館」で自分の宿が表示されているかを確認します。表示されていないなら、ページのタイトルに地名と宿の種類を入れることから始めます。指名検索(宿の名前そのものでの検索)だけでなく、「地名+温泉」「地名+日帰り」のような、まだ宿を知らない人が使う言葉で表示されているかも合わせて確認します。
実際、私たちの会社のサイト(oneism.jp)でも同じ考え方でSearch ConsoleとGA4を運用しています。直近28日間で、検索経由のクリック数568・表示回数6,023回・平均クリック率9.43%・平均掲載順位9.92位、検索経由の流入が全体の約57%を占めています。旅館のサイトも、私たちの会社のサイトも、見るべき考え方は同じです。
検索とマップの整備は、すぐには数字に出ません。ただ、一度整えれば広告を止めても働き続けてくれます。急がば回れの打ち手です。
4つめは、数字が見える状態を作ることです。順番としては最後に書きましたが、実はすべての打ち手の土台になります。
むずかしい仕組みは要りません。無料の「GA4(Googleアナリティクス)」を公式サイトに入れます。そして、予約完了ページへの到達を「キーイベント」として設定します。これで「何人が来て、何人が予約したか」を数えられます。
広告側の数字は、Meta広告マネージャの管理画面で見られます。あとは広告費・予約数・売上を、週1回スプレッドシートに書き写すだけでも立派な見える化です。見るべき数字は、広告費・予約数・客単価・売上・ROASの5つで十分です。この5つが週次でつながっていれば、経営判断に必要な情報はそろいます。
私たちはさらに進めて、広告・予約・売上の数字が1枚で見えるダッシュボードを作りました。毎日数字を見ると、打ち手の良し悪しがすぐに分かります。「なんとなく良さそう」で広告を続けることがなくなりました。
予約システムを外部サービス(別ドメイン)で使っている宿は多いです。この場合、GA4のクロスドメイン設定をしていないと、公式サイト→予約完了までの流れが1本につながらず、「キーイベント」の件数がずっと0件のままになります。広告のCTRやサイトへの訪問は増えているのに、予約の数字だけ動かないというときは、まずここを疑ってください。設定自体は、GA4の管理画面から予約システムのドメインを追加するだけで済みます。
数字が見えない状態は、暗闇で矢を放つようなものです。逆に数字が見えれば、小さな宿でも大手と同じ土俵で戦えます。次の一手を、勘ではなくデータで決められるからです。
ここまで書いてきた「広告×SNS→公式LINE→検索とマップ→数字の見える化」という順番は、私たちの旅館だけの特殊な事情ではないか、と思われるかもしれません。結論から言うと、業種が違っても同じ型で成果が出ています。
私たちが支援したスクール事業では、広告費46万円で月商387万円を達成しました。旅館とはまったく違う業種ですが、計測タグを設置し、クリエイティブをテストし、数字を見ながら予算を寄せるという進め方は同じです。
宿泊業では、北海道のホテルを支援し、1年で売上が約6倍になりました。宿の規模や立地、料理のジャンルが違っても、まず自社集客の柱を作り、リピーターを育て、検索とマップを整え、数字で判断する、という順番自体は変わりません。
共通しているのは、特別な才能や大きな予算ではなく「計測する→試す→数字で判断する」という地味な繰り返しです。この型さえ回せば、業種や規模が違っても再現性があると考えています。
ここまでの打ち手を、私たちがどう回しているか。実際の週次運用を公開します。
やることは週1回、30分です。決まった曜日に、決まった順番で数字を見ます。
クリエイティブ差し替えのコツは、勝っている写真の「別カット」から試すことです。まったく新しい案より、当たりの延長のほうが成功率は高いです。
そして、新しいクリエイティブを常に1〜2本テストに入れておきます。いまの勝ち広告も、いつか必ず飽きられるからです。
月に一度は、検索とマップの数字も同じ場で振り返ります。Search Consoleのクエリと、Googleビジネスプロフィールのクチコミ・投稿状況です。週次の広告の数字とは動くスピードが違うので、頻度を分けて見るのがコツです。
この30分を、毎週続けるだけです。特別な才能は要りません。続けた宿と続けなかった宿の差が、1年後の売上の差になります。
うまくいった話だけでは、フェアではありません。失敗したことと「やらなくてよかった」と感じていることを、正直に書きます。
成果が出はじめた広告を、もっと良くしようと頻繁にいじった時期があります。結果は逆でした。触るたびに配信の学習がリセットされて、成果が安定しませんでした。いまは「効いている広告は触らない」を鉄則にしています。学習が落ち着くまでは、数字だけを見て手を出さないようにしています。
作り込んだ1本より、素直な写真の5本のほうが学びは多いです。どれが効くかは、出す前には誰にも分かりません。早く出して、数字に選ばせるほうが結局は近道でした。
始めたばかりの頃は、割引やキャンペーンの案内ばかり送っていました。ブロックが増え、開封率も落ちていきました。売り込みを減らし、季節の見どころなど「読んでうれしい」内容に変えてから、落ち着いた運用に戻りました。
現場は毎日忙しいです。全部に手を出すと、どれも中途半端になります。私たちは伸びる場所に絞って、そこに力を注ぎました。
OTAには手数料がかかります。例えば1泊2万円の宿泊で、手数料を15%と仮定すると1予約あたり3,000円です。決して軽くない金額です。
それでもOTAは、認知の入口として優秀です。急にやめるのではなく、直販の比率を少しずつ上げるのが現実的でした。くわしくは関連記事「OTA依存から抜け出す方法」に書いています。
きれいなサイトを作っても、集客の導線がなければ売上にはなりません。順番はいつも「導線が先で、見た目は後」です。
まず「数字が見える状態」を作ることをおすすめします。現状が分からないままでは、打ち手の良し悪しを判断できないからです。そのうえで、広告×SNSの自社集客から手をつけるのが早いです。計測タグの設置だけは、広告を出す前に必ず終わらせてください。
宿の規模や目標によって変わります。参考として、私たちは自社旅館を月額30万円の広告費で運用しました。ROASは最高1,200%超です。少額から始めて、CTRとROASを見ながら増やすのが安全です。
宿の実際の写真がいちばんです。露天風呂・料理・客室など、写真ちがいで3〜5本を同時にテストします。CTR1%を目安に、下回るものから差し替えていきます。勝っている写真の別カットから試すと、成功率が上がります。
まず1つに絞ることをおすすめします。宿は写真で選ばれるので、Instagramとの相性が良いです。投稿の型を決めて、週3本を目安に続けます。私たちはこの積み重ねでSNS総フォロワー3万人超になりました。
私たちは月2〜3回を目安にしています。それ以上は通知がうるさい存在になり、ブロックが増える原因になります。配信の中身も、売り込みより季節のお知らせなど読んでうれしいものを心がけています。
オーナー確認を終わらせてから、写真・営業情報・宿の説明文を埋めます。そのうえでクチコミに全件返信し、週1回「最新情報」を投稿します。この順番であれば、専門知識がなくても迷いません。
はい。私たちが支援したスクール事業では広告費46万円で月商387万円、北海道のホテルでは1年で売上が約6倍になりました。業種が違っても、計測してテストして調整するという型は同じです。
急にやめる必要はありません。OTAは認知の入口として優秀です。OTAを活かしながら、自社で集客できる直販の比率を少しずつ上げていくのが現実的です。
旅館の集客・OTA依存からの脱却・広告運用のご相談を承っています。自社の数字をもとに、次の一手をお伝えします。支援内容のくわしい説明は「旅館・宿の集客支援」のページをご覧ください。
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