旅館・ホテルの集客代行に任せる仕事と、宿に残す仕事(予約サイト・SNS・広告などの分担表つき)

この記事は、集客を外の会社に頼もうか考えている旅館・ホテル・ゲストハウスの方に向けて書いています。頼むと決めたあとに迷うのは、どこまで任せて何を宿に残すかです。私たちは長野県高山村の旅館「松川館」を自分たちで運営しながら、北海道の宿などの集客を引き受けています。宿を営む側と集客を引き受ける側の両方から、任せる仕事と宿に残す仕事の線引きを書きます。予約サイト・SNS・広告など、施策それぞれの手順は「旅館・ホテルの集客方法9つと、立ち上げる順番|長野と北海道の宿でやっている全手順」にまとめました。

囲炉裏の席に並んだ夕食|お客様をお迎えする仕事は、集客を任せても宿に残る
FIELD / RYOKAN / JAPAN  ·  夕食

外からできる作業は任せ、宿にしかできない仕事は残す

旅館・ホテルの集客代行に任せられるのは、9つの施策を毎週回し続ける作業です。9つの施策には、OTA・公式サイト・SNS・広告・検索対策(SEO)・Googleマップ・公式LINE・メディアPR・採用が入ります。

「OTA」=楽天トラベルやじゃらんのような、宿泊の予約サイトのことです。「集客代行」=この記事では、宿の集客の作業を外の会社が引き受けることを指します。

宿にしかできない4つの仕事は、宿に残します。中身は、「お客様の前に立つ」「宿の事実と思いを渡す」「予算と直し方を決める」「アカウントの名義を持つ」です。

線を引くときの基準は1つで、宿の外からでもできる作業かどうかです。外からできる作業は任せて、宿にしかできないことは宿で持ちます。

集客代行に任せる仕事と、宿に残す仕事の線引き。任せるのは9つの施策の作業、宿に残すのは応対・事実と思い・予算と直し方の判断・名義の4つ

作業まで宿に残すと、現場が忙しい週に集客が止まります。宿にしかできないことまで外に任せると、宿の事実や思いとずれた発信が出ます。

集客を任せる目的は、宿の方がお客様の応対とその宿ならではのサービスに時間を使えるようにすることです。この線引きは、その目的から決めています。

予約サイト・SNS・広告などは、お客様の流れを1か所で見る形で任せる

任せると決めたら、9つの施策はお客様の流れを1か所で見られる形で任せることをおすすめします。いちばん簡単なのは、1社にまとめることです。松川館と支援先の宿で集客を担ってきた私たちは、宿の集客は9つを全部続けてはじめて効果が出ると考えています。

施策どうしが1本の流れでつながっているからです。たとえば予約サイトで出会ったお客様に、泊まっている間に公式LINEへ登録していただきます。その配信を通じて、2回目は公式サイトから予約していただく流れです。この流れは、OTA・公式LINE・公式サイトのどれか1つが止まると途切れます。

私たちは、2つか3つだけに手をつけて止まるのがいちばん良くないと見ています。自分の宿で流れを次の3つに書き出すと、どこで途切れているかを確かめられます。

1
お客様が宿を知る場所を書く。OTA・検索・Googleマップ・SNS・広告・取材の記事のうち、どこから知った方が多いかを並べます。
2
予約を受ける場所を書く。OTAと公式サイトと電話の、どこで予約が入っているかを書きます。
3
もう一度来ていただく手段を書く。公式LINEや配信の名簿があるかを書きます。空いている欄が、流れの途切れている場所です。

施策ごとに別の会社へ頼むと、次の2つが起きます。

1
初期費用と月額が、頼んだ会社の数だけかかる。9つを9社に分けて頼むと、小さな宿には負担が大きすぎます。
2
どの施策で予約が増えたのかを、1か所で確かめられない。広告を代理店に頼んでサイトを制作会社に頼むと、数字を見る場所も分かれます。

9つを1社で運用していれば、予約や問い合わせの数字が伸びなくなったときにどの施策で止まったかを1か所で探せます。

OTAの運用と自社予約の集客も、同じ相手に任せる

「自社予約」=公式サイトや電話で、宿が直接受ける予約のことです。OTAの運用と自社予約の集客も、分けずに同じ相手に任せます。

OTAは、まだ宿を知らないお客様と出会う入口です。OTAで宿を見つけた方が、宿の名前で検索して公式サイトから予約することもあります。

入口のOTAと受け皿の公式サイトを別々の会社が見ると、1人のお客様の流れを通して見る人がいなくなります。

OTAで宿を発見し、宿名を検索し、公式サイトで確認して直接予約するまでの流れ。1社が見れば流れはつながり、別々の会社が見ると情報と数字が途中で分断される

分けて頼むなら、宿の側で3つをそろえる

すでに施策ごとに別の会社と契約している宿もあると思います。その場合は次の3つを宿の側でそろえておくと、効果の出た施策を確かめやすくなります。

1
計測を、宿の名義で1つにする。アクセス解析(GA4)や広告のアカウントは宿の名義で作り、各社には権限だけを渡します。
2
成功を測る数字を、1つに決める。予約件数・直販(予約サイトを通さない予約)の売上・直販の割合のどれで見るかを決め、各社に同じものを伝えます。
3
全体の数字を見る人を、1人決める。各社の報告を並べて読む人が宿の中にいないと、どこで予約が増えたのかを誰も判断できません。

1社にまとめるか分けて頼むかは、この3つを宿の側で1か所に持てるかで決めてください。1社にまとめると、3つが最初からそろった状態で始められます。

頼む相手を比べるときの5つの確認

1社にまとめる場合も分けて頼む場合も、候補の会社には次の5つを確かめてください。私たちは、この5つを契約書に書いています。

1
アカウントを、宿の名義で作るか。OTA・広告・SNSのアカウントの持ち主が、宿になっているかを見ます。
2
契約が終わったら、制作物とデータを渡すか。公式サイトのデータ一式を、宿の手元に移せるかを見ます。
3
施策ごとの数字を、毎月見せるか。今月の結果と来月の打ち手が、施策ごとにわかる報告があるかを見ます。
4
やめるときの手順が、決まっているか。何か月前に伝えれば終えられるかと、終えたあとに権限を外す流れを見ます。
5
手を動かすのが、話をした会社か。作業を別の会社へ回さないかを見ます。

宿に残すのは、お客様の応対・宿の情報・予算の判断・アカウントの名義

9つの施策の作業を任せても、宿に残る仕事が4つあります。どれも、宿にしかできません。

1. お客様の前に立つ(応対)

お客様の応対は、これまでどおり宿の方の仕事です。集客の作業は、応対に使う時間を取り戻すために任せます。

集客の中にも、お客様の前でしかできない仕事があります。チェックインのときに公式LINEの登録をお願いする一声と、お帰りのときにクチコミをお願いする一声です。

泊まった方の全員にクチコミをお願いし、感想のよし悪しで相手を選びません。好意的な感想の方だけを選んでお願いすることは、Googleのクチコミの決まりで禁じられています。

公式LINEに届いた館内の質問に答えるのも、宿の方です。配信の文面と仕組みは任せられますが、目の前のお客様への返事は宿の中からしか出せません。

2. 宿の事実と思いを渡す(事実)

記事や投稿を書く作業は任せられますが、もとになる事実は宿にしかありません。料金・設備・食事の内容・季節の様子は、宿からお渡しいただきます。

私たちは宿が確かめた事実だけで記事や投稿を組み立て、公開の前にすべて照らし合わせています。迷う点が出たときは、宿に確認をお願いします。

なぜこの宿を営んでいるのかという思いも、宿の方から伺います。公式サイトは宿の名前で検索して来た方に濃い情報を渡す場所なので、宿の人の思いまで載せます。

写真も、宿からお預かりします。メインの写真は、プロに頼むか宿でしっかり撮ったものを使います。日々の様子を伝える写真は、スマホで撮ったものでかまいません。

3. 予算と直し方を決める(判断)

広告の作業は任せても、月にいくら使うかは宿が決めます。私たちの契約では、広告費の月の予算を話し合ったうえで宿に書面で決めていただきます。配信は、その範囲でおこないます。

Googleマップのクチコミへの返信も、文面は任せられます。ただし低い評価を受けて何を直すかは、宿の現場にしか決められません。

低い評価への返信に今後どう直すかを書くと、返信を読んだ方が安心して来られます。直す中身を決めるのは宿で、私たちはその中身を返信の文面にします。返信の書き方は「旅館・ホテルの口コミ返信、3行の型と例文|低い評価への返し方と、Googleマップの写真30枚」にまとめました。

4. アカウントの名義を持つ(名義)

OTA・広告・SNSのアカウントは、宿の名義で作ります。支援する会社には、運用に必要な権限だけを渡してください。

支援する会社の名義で作ると、契約が終わった日にアカウントが数字ごと手元から消えます。宿の名義で作っておけば、契約が終わったあとは権限を外すだけで済みます。

公式サイトなどの制作物も、契約が終わったあと宿の手元に残る形にしておきます。

9つの施策ごとの分担表

4つの仕事を9つの施策に当てはめると、次のようになります。私たちがお受けするときの分担です。

施策任せる作業宿に残すこと
OTA掲載・プランづくり・料金の見直しOTAとの契約を宿の名義で結ぶ・サイトコントローラーを入れる
公式サイト作り直し・予約の仕組みの組み込み・更新写真・施設情報・宿の思いを渡す
SNSInstagramとThreadsの企画・制作・予約投稿アカウントを宿の名義で持つ
広告Meta広告の配信・画像と文章の差し替え月の予算を決める・広告費を負担する
検索対策記事の企画から公開まで記事の事実を確かめる
Googleマップ投稿・クチコミへの返信・写真の整備泊まった方全員に感想をお願いする・低い評価を受けて直す点を決める
公式LINE配信・ステップ配信・お客様の声の回収チェックインで登録をお願いする・館内の質問に答える
メディアPRプレスリリースの作成・媒体への持ち込み取材を受ける
採用採用ページの整備・求人の募集面接をして、採る人を決める

「サイトコントローラー」=複数の予約サイトと公式サイトの空室を、まとめて管理する仕組みです。「ステップ配信」=予約のあとに、順番に届くメッセージのことです。

北海道の宿は、チェックインの声かけで名簿が499件になった

私たちが支援している北海道の宿は、人口約4,000人の町にある全3室の古民家のオーベルジュ(料理を中心にした宿)です。ここでは、この宿の公式LINEを私たちと宿の方がどう分担しているかを紹介します。

チェックインのときには、ほぼ全員へ公式LINEの登録をご案内しています。お客様が宿の中にいてスタッフと顔を合わせているときにお願いするので、自然に登録していただけます。

登録とあわせて、記入フォームにお名前と地域を書いていただいています。記入フォームへの記入は、2026年6月の時点で499件でした。

499件は記入された名簿の件数で、友だちの総数や予約の件数とは別の数字です。記入フォームと配信は私たちが作り、登録をお願いする一声は宿の方が担っています。

北海道の宿での公式LINEの分担。代行会社がフォーム作成と配信準備、宿がチェックイン時の声かけ、お客様が登録と記入をして、名簿は499件

チェックインで名簿を作る手順は「OTAの手数料を下げ、宿の自社予約比率を上げるLINEの活用方法|チェックインで名簿を作る手順」にくわしく書いています。

任せたあとに宿で増えるのは、写真・施設情報の提供と月1回の打ち合わせ

集客を任せたときに、宿の仕事として新しく増えるのは2つです。始めるときに写真と施設情報をお預けいただくことと、毎月1回30分ほどのお打ち合わせに出ていただくことです。

前の章の4つの仕事は、新しく増える仕事には数えていません。チェックインの一声や館内の質問への返事のように、どれも宿の方がもともとお客様の前でしている仕事の延長にあるからです。

写真と施設情報をいただいてから2週間で、次の6点をお渡しします。そのあとの投稿・広告の設定・数字の集計は、私たちがおこないます。

依頼してからの流れ。開始時に宿が写真と施設情報を渡し、最初の2週間で代行会社が6点を準備し、運用中は代行会社が投稿・広告・集計をおこない、宿は日常の4つの仕事と月1回30分の打ち合わせを持つ

数字は広告・予約・売上・検索・SNSを1画面にまとめたダッシュボードで、毎日自動で更新されます。「ダッシュボード」=いくつもの数字を、1つの画面で見られるようにしたものです。

お打ち合わせでは、今月の結果と来月の打ち手を1枚にまとめた報告をもとに話します。上の4つの仕事のうち、予算と直し方は主にこの場で決めます。

宿が負担する費用

作業のほかに、宿には広告費を負担していただきます。予約の仕組みとサイトコントローラーの利用料も、宿の負担です。広告費は私たちが立て替え、翌月の請求書に実費でお載せします。

自分で回す場合との違い

9つの施策を自分たちで回すなら、集客に週3時間を確保して半年続けることが目安になります。任せる場合は、この週3時間の作業を宿で持つ必要がなくなります。

私たちも最初の1か月は、集客の作業を回せなかった

長野の宿で集客を引き受けた最初の1か月、私たちも作業を回せませんでした。やることはわかっていて、書き出したリストもありました。

それでも宿泊の予約が入っていると、机に向かう時間は最後まで残りません。気づけば、月末になっていました。

できなかった理由は、9つを回し続ける体制がなかったことです。

いまは自社で開発した管理の仕組みで、9つの作業の進み具合と数字を1か所にまとめて見ています。2026年8月に公開・配信した本数は、松川館で読みもの記事21本です。北海道の3室の宿では同じ月に、記事4本・Instagram投稿5回・広告配信31日を数えました。

この経験から、作業は宿に残さない分担に決めました。宿の方には、宿にしかできない4つの仕事に絞ってお願いしています。

任せるときに起きやすい3つのつまずき

1
アカウントを、支援する会社の名義で作る。契約が終わった日に、広告やSNSの数字が手元から消えます。
2
施策ごとに、別の会社へ頼む。どの施策で予約が増えたのかが、わからなくなります。
3
事実の確認まで、任せきりにする。料金や設備が宿の実際と違う記事や投稿が、出るおそれがあります。

自分でやるほうが向いている宿と、お受けしない宿

宿によっては、任せずに自分でやるほうが向いています。集客に週3時間を確保して担当を1人決め、半年続けられる宿がそうです。

自分でやる場合の立ち上げる順番は「旅館・ホテルの集客方法9つと、立ち上げる順番|長野と北海道の宿でやっている全手順」に書きました。

私たちがお受けしない宿

次のどれかに当てはまる場合、私たちはご依頼をお受けしていません。

4つ目は、この記事の2章に書いたとおりです。私たちは、OTAの運用と自社予約の集客をまとめてお受けしています。

私が増やしたいのは、宿の方が集客に時間を取られずに目の前のお客様の応対へ時間を使える宿です。どこまで任せるかは、いまの数字を拝見すればお伝えできます。

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よくある質問

旅館・ホテルの集客代行には、何を任せられますか。

OTA・公式サイト・SNS・広告・検索対策(SEO)・Googleマップ・公式LINE・メディアPR・採用の9つの施策を、毎週回し続ける作業を任せられます。宿に残すのは、お客様の応対・宿の事実と思いを渡すこと・予算と直し方を決めること・アカウントの名義を持つことの4つです。

集客代行に頼むと、宿の手間はどのくらい残りますか。

私たちがお受けする場合、宿の仕事として新しく増えるのは2つです。写真と施設情報をお預けいただくことと、月に1回30分ほどのお打ち合わせに出ていただくことです。投稿・広告の設定・数字の集計は、私たちがおこないます。お客様の応対やチェックインの一声などの4つの仕事はもともと宿でしている仕事の延長なので、新しく増える仕事には数えていません。

OTAの運用と自社予約の集客は、別々の会社に頼んでもよいですか。

OTAの運用と自社予約の集客は、同じ相手にまとめて頼むことをおすすめします。入口のOTAと受け皿の公式サイトを別々の会社が見ると、1人のお客様の流れを通して見る人がいなくなるからです。私たちも、OTAの運用と自社予約の集客をまとめてお受けしています。

アカウントは、誰の名義で作ればよいですか。

OTA・広告・SNSのアカウントは、宿の名義で作ります。支援する会社には、運用に必要な権限だけを渡してください。宿の名義で作っておけば、契約が終わったあとは権限を外すだけで済みます。

クチコミへの返信も、任せられますか。

はい、返信の文面は任せられます。ただし低い評価を受けて何を直すかは、宿の現場が決めます。泊まった方の全員にクチコミをお願いし、感想のよし悪しで相手を選びません。

任せたあとで、自分たちで集客を覚えることはできますか。

はい、できます。ご自分で覚えたい場合は、私たちが個別にお教えしますのでご相談ください。

無料相談はこちら

9つの施策のうち、どこまでを任せるかのご相談を承っています。支援の内容は、「旅館・ホテルの集客支援|OTA・公式サイト・SNS・広告など9つの施策を1社で運用」のページをご覧ください。お申し込みの方には、お宿の集客カルテ(通常5万円相当)をお作りします。

無料相談はZoomで、30分から1時間です。相談だけで終えていただいてかまいません。

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