「志」を採用基準にする
とはどういうことかスキルより人間性を見る理由

採用でスキルを見るか、人間性を見るか。悩んでいる経営者の方に向けて書いています。AIの台頭で、多少のスキルの差は埋まっていく時代になりました。私たちOne Ismが、採用基準の中心を「志」「至誠」「円融自在」という人間性に置いている理由を、正直にお伝えします。

夕暮れの山あいの風景|AI時代の採用哲学を考える
PHILOSOPHY — 採用基準  ·  志 · 至誠 · 円融自在

先に結論。なぜ人間性を採用基準にするか

結論から先にお伝えします。私たちが採用基準の一番大きな軸に置いているのは、スキルではなく人間性です。理由は、主に4つあります。

1
AIの台頭で、スキルの差は埋まっていく。だからこそ、本当に人として素敵かどうかが、これからの差になると考えています。
2
少数精鋭のチームは、志が重ならないと機能しない。人数が少ない分、一人ひとりの人間性が、チーム全体の空気に直結します。
3
至誠と円融自在は、後から教えることが難しい。スキルは伸ばせますが、この2つは、採用の入り口で見極めるしかないと考えています。
4
実際に、この基準で組んだチームが数字を動かしている。抽象的な理念だけの話ではありません。具体的な数字と、面談で実際にどう見極めているかを、この記事でお伝えします。

ここから、それぞれの理由と、私たちが実際に使っている3つの基準、そして面談で何を聞いているかまで、具体的にお伝えします。

AI時代にスキルより人間性を見る理由

AIの進化で、以前ならスキルの差だった部分が、急速に埋まっています。文章を書く力も、資料を作る力も、数字を分析する力も、AIが助けてくれる時代になりました。

スキルだけを採用基準にすると、差がつきにくくなります。差がつきにくい基準で人を選んでも、チームの質は、思ったほど上がりません。

だから私たちは、判断軸をもうひとつ深いところに置きました。「AIの台頭で、多少のスキルの差は埋まっていく時代になりました。だからこそ、本当に人として素敵かどうかを、一番大きな判断軸に置いています」。

誤解のないように書きますが、スキルを軽視しているわけではありません。ただ、スキルは後からでも伸ばせます。人間性は、後から大きく変えることが難しいと、私たちは考えています。

特に、私たちは少数精鋭の方針でチームを作っています。人数が少ない分、一人の人間性が、チーム全体の空気にそのまま直結します。だからこそ、採用の入り口で、ここを見極める必要があると考えています。

実際に、数字はどう動いているか

私たち株式会社One Ismは、2023年7月設立、資本金100万円というごく小さな会社です。代表は大橋祐哉。人数の少なさを、スキルの総量でカバーすることはできません。だからこそ、一人ひとりの人間性が、そのままチームの出力に直結すると考えています。

実際の数字で見てみます。私たちが自社で運営する旅館(創業140年)は、前年同月比240%、最高月商1,100万円まで成長しました。広告運用では、月額広告費30万円で最高ROAS1,200%超を記録した実績もあります。スクール事業では、広告費46万円に対して月商387万円を達成した例もあります。支援先の北海道のホテルでは、1年で売上が約6倍に伸びました。

これらの数字を動かしているのは、AIの力だけではありません。どのAIエージェントをどう使うか、どんな志で数字と向き合うかを判断しているのは、結局のところ人間です。同じAIツールを渡しても、志を持って使う人と、指示された作業をこなすだけの人とでは、出てくる結果がまったく違うと、私たちは日々の運営で実感しています。

採用基準3つの解説

私たちが採用基準の中心に置いているのは、次の3つです。それぞれ、なぜこの基準にしたのかを、順番にお伝えします。

①志を持ち、染まらず、共鳴できる人

「誰かの志にただ染まるのではなく、自分自身の志を持ったまま、重なり合える人と働きたいです」。

私たちは、日々の細かい仕事も、それ単体の仕事だとは考えていません。積み重ねが、村や地域、さらには日本につながっていくと考えています。私たちが掲げる4本柱のビジョンは、①自社で旅館を運営する、②その型を他の宿へ広げる、③地方の若者に挑戦の場をつくる、④宿から地域全体へ広げる、という順番です。掃除や日々の細かい対応も、この一歩目だと捉えられるかどうかが、志の有無に直結します。

だからこそ、指示にただ従うだけの人ではなく、自分自身の志を持てる人を求めています。志が重なり合えば、細かい指示がなくても、同じ方向を向いて動けるからです。面談では、なぜその志を持つに至ったのか、具体的な経験とセットで語れるかを見ています。理念に共感しているだけの言葉と、自分の経験に根ざした言葉は、深掘りの質問をすると違いがはっきり出てきます。

②自分を含め、人のために至誠を尽くせる人

「至誠にして動かざる者は、未だこれあらざるなり」。

誰かのミスを、その人のせいにせず、自分ごととして受け止め、仕組みの方を直そうとする姿勢です。

自分を犠牲にするのではなく、自分も大切にしながら、人に尽くせる人を求めています。至誠は、我慢とは違うと考えているからです。面談では「過去に一番うまくいかなかった経験」を必ず聞きます。失敗の原因を、環境や他人のせいにするか、自分の準備不足や仕組みの不備として振り返るか。この語り方の違いが、至誠を尽くせる人かどうかの一番分かりやすいサインです。

③調和し、円融自在でいられる人

「山にはいろんな木や草花があります。それぞれが自分のまま伸びながら、全体としてひとつの緑の山をつくっている」。

誰かに合わせて自分を消すのでも、自分だけを押し通すのでもない。そのあり方を、私たちは円融自在と呼んでいます。

組織の中で、それぞれが自分のまま力を発揮しながら、全体として調和する。私たちは、そういうチームを目指しています。面談では「チームで意見が対立した時、どうしたか」を聞きます。自分の意見を保ったまま相手の意見も受け止め、着地点を探した経験を語れる人は、円融自在の素地があると判断しています。

カジュアル面談で、実際に何を見ているか

志・至誠・円融自在は、経歴書だけでは分かりません。カジュアル面談で、実際に私たちがやっていることをそのままお伝えします。

1
最初の15分は、経歴を聞かない。経歴書はすでに読んでいます。面談の最初は「今、何に興味がありますか」「なぜ地方の仕事に関心を持ちましたか」から始めます。用意された模範解答か、その場で考えた言葉かは、話す速度と間の取り方で分かります。
2
「至誠を尽くせなかった経験」を聞く。うまくいった話より、うまくいかなかった話の方が、その人の人間性が出ます。失敗をどう振り返っているかで、自分ごととして受け止められる人か、他責にしがちな人かが見えてきます。
3
沈黙を怖がらない。円融自在かどうかは、その場を埋めようとする言葉数ではなく、間ができた時にどう振る舞うかで見ています。無理に埋めようとせず、自分の言葉が出てくるまで待てる人かどうかを見ています。

1回の面談ですべてを判断することはありません。志・至誠・円融自在は、テストのように一度で測れるものではないからです。少しでも違和感があれば、その場で率直に聞き返しますし、必要であれば複数回、時間をかけてお話しします。

見極めでつまずきやすい3つのパターン

人間性の見極めは、こちらが油断すると簡単にずれます。私たちが実際に気をつけている、つまずきやすいパターンとその対処法を共有します。

1
「模範解答」に気づけない。志を、理念文をなぞるように話す人がいます。言葉自体は正しくても、自分の経験に紐づいていない話は、深掘りの質問をすると急に具体性がなくなります。対処法は「それを一番強く感じた、具体的な出来事を教えてください」と一段深く聞くことです。エピソードが出てこなければ、借り物の言葉である可能性が高いです。
2
スキルの高さに目がくらむ。経歴やポートフォリオが優れていると、人間性の見極めが甘くなりがちです。私たちも過去に、スキルの高さを理由に、人間性の確認を後回しにしてしまったことがあります。対処法として、スキルの説明を聞く前に、必ず人間性に関する質問を終わらせる順番を徹底しています。
3
円融自在を「従順さ」と混同する。面談で終始こちらに同意ばかりする人を、円融自在だと誤解しそうになることがあります。ですが本当の円融自在は、自分の意見を持ったまま調和できることです。対処法は、あえて意見が分かれそうな質問を投げて、その反応を見ることです。

この基準で採用して良かったこと

スキルより人間性を基準にしてから、採用の判断に迷うことが減りました。基準がはっきりしている分、面談での判断がぶれにくくなったからです。

少数精鋭のチームでも、指示を待つだけの状態になりにくくなりました。一人ひとりが自分の志を持って動くため、細かい指示がなくても、同じ方向を向いて仕事が進みます。

ミスが起きたときも、犯人探しになりにくくなりました。至誠を大切にする姿勢が浸透しているぶん、仕組みを直す方向に話が向かうことが増えました。

Before / After。何が変わったか

Before:経歴やスキルシートを重視して選考していた時期は、面談での印象が良くても、入社後に方向性のずれが表面化することがありました。スキルの確認に時間をかけた分、人間性の確認が浅くなっていたことが、後から振り返ると原因でした。

After:志・至誠・円融自在を軸に、面談の順番自体を人間性の確認から始める形に変えてから、入社後に方向性がずれて離れるケースはほとんどなくなりました。たとえば、SNS運用を任せているメンバーが至誠を尽くす姿勢で日々の発信に地道に向き合い続けた結果、自社運営の旅館のSNS総フォロワーは3万人を超えました。派手な小手先のテクニックより、地道な姿勢の積み重ねが数字につながった例だと考えています。

【正直な話】判断に時間がかかることもある

もちろん、簡単な道ではありません。人間性を見極めるのは、スキルを確認するより時間がかかります。一度の面談だけで判断できないことも多いです。

それでも、私たちはこの基準を変えるつもりはありません。時間がかかっても、後から人間性を大きく変えるより、入り口で丁寧に見極めるほうが、結果としてお互いのためだと考えているからです。

よくある質問

なぜスキルより人間性を優先するのですか。

AIの台頭で、多少のスキルの差は埋まっていく時代になったからです。差がつきにくい基準で選ぶより、後から変わりにくい人間性で選ぶほうが、チームの質につながると考えています。

「志」「至誠」「円融自在」は、どうやって見極めるのですか。

テストで測れるものではないと考えています。カジュアル面談での会話や、これまでの経験の語り方から、時間をかけて見させていただいています。一度の面接だけで判断することはありません。

スキルはまったく見ていないのですか。

いいえ、スキルも見ています。ただ、判断の一番大きな軸には置いていません。スキルは後からでも伸ばせますが、人間性は後から大きく変えることが難しいと考えているからです。

この考え方は、中小企業でも使えますか。

使えると考えています。特に少数精鋭のチームほど、一人の人間性がチーム全体の空気に直結します。人数が少ない組織ほど、効果を感じやすい基準だと思います。

面接ではどんな質問をされますか。

経歴の確認より、志を持つに至った経験や、過去の失敗にどう向き合ったかをお聞きすることが多いです。模範解答を用意していただく必要はありません。自分の言葉でお話しください。

何回くらい面談がありますか。

決まった回数はありません。志・至誠・円融自在は一度で判断できるものではないため、必要であれば複数回、時間をかけてお話しします。

採用候補者として、何を準備すればいいですか。

特別な準備は必要ありません。スキルの棚卸しより、自分がどんな志を持って働きたいか、言葉にしてみることをおすすめします。まずはカジュアル面談で、率直にお話ししましょう。

採用について、詳しく話しませんか

志・至誠・円融自在。この3つの基準に共鳴できる方は、まずはカジュアル面談からお話ししましょう。採用について詳しくは「採用基準」のページをご覧ください。

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