この記事は、2026年7月5日に実際にあったことの記録です。私たちOne Ismは、AIエージェントの組織で会社を動かしています。この日、いま読んでいただいているこの公式サイトを1日で4ページから15ページに増やしました。朝の計画づくり・AI3班の並列制作・社長のダメ出しによる70箇所超のリライトまで。手順とつまずきを、そのまま公開します。「AIで業務や集客をやってみたい」という方に向けて書いています。
朝、社長がAIに伝えたのはゴールだけです。「公式サイト経由の相談を、月1〜2件にしたい」。作るページの指示は、ひとつもしていません。
AIのWebディレクター役が、まず実データを診断しました。アクセス解析(GA4)と検索データ(Search Console)を見て、サイトの現状を洗い出します。
わかったことは3つでした。サイトが実質4ページしかないこと。相談を検討中の人が読むページ(サービス・料金・FAQ・会社概要)がゼロなこと。そして効果検証の計測が止まっていたことです。
そこからAIは、月1〜2件を逆算しました。相談フォームの一般的な通過率から、必要な検索流入を計算します。その流入に足りないページを、優先度つきで全部リスト化しました。これが午前中にできた「計画書」です。
計画書に入れた項目は、次の3つです。
ここでのポイントはひとつです。AIに「ページを作って」と頼むのではなく、先に「計画書を作って」と頼むこと。ゴールの数字から逆算させると、作るべきものと順番が根拠つきで決まります。
計画に社長のGOが出たら、次は制作です。ただし、いきなり作らせません。ディレクター役のAIが先に「仕様書」を書きます。
仕様書には、ページごとのtitle・見出し・本文の骨子まで入れます。あわせて全ページ共通のルールも書きます。文章の型。デザインの踏襲元。そして「使ってよい実数の一覧」です。
この実数リストがいちばん大事です。AIは放っておくと、それらしい数字を作ってしまうことがあります。だから「この一覧にない数字は書かない」と先に決めておきます。
使ってよい実数の一覧には、自社で運営する旅館の実績を入れました。たとえば、売上の前年同月比240%、最高月商1,100万円、月額広告費30万円で達成した最高ROAS1,200%超、SNS総フォロワー3万人超です。こうした数字を先に確定させ、それ以外の数字はAIに書かせません。数字を後から差し込むより、先に「使える数字」を固定するほうが速く、そして正確です。
仕様書ができたら、実装役のAIを3班に分けて同時に走らせました。サービス系のページを作る班。料金・会社概要・FAQを作る班。一覧ページやナビゲーションなど共通部を整える班です。分業の境界を仕様書で切っておくと、同じファイルの取り合いが起きません。
できあがったページは、公開前に機械的な検品を通します。人の感想の前に、まず壊れていないかを機械で確かめる。この順番にすると、人は「内容の良し悪し」の判断に集中できます。
私たちがWeb制作で踏む型は、要件定義・デザイン・実装・検証・デプロイの5段階です。この日の朝が要件定義、仕様書づくりがデザインの一部にあたります。3班の並列制作が実装、機械検品が検証です。最後にGitHub経由でVercelへ公開して、デプロイまでが1セットになります。
順調に見えた昼すぎに、この日いちばんの転機が来ます。できたページを見た社長の感想は、ひとことでした。「カッコつけすぎ」。
最初にAIが書いた見出しは、広告のコピーのような文体でした。きれいですが、何のページか一瞬でわかりません。実際のビフォーアフターを、そのまま載せます。
直した箇所は、全ページで70箇所を超えました。ここで大事だったのは、直し方です。1箇所ずつ口頭で直させるのではなく、「リライト仕様」という1枚のルールにまとめました。
見出しはそのセクションの内容をそのまま言う。タメを作る読点は消す。抽象的な表現は具体に直す。数字と実利は文の前方に置く。この原則を渡せば、AIは全ページを一括で直せます。
もうひとつ、逆の学びもありました。ミッションなど世界観の文章は「変更禁止」と明記したことです。全部を実用文にすると、会社の顔がなくなります。直す範囲と守る範囲を、先に線引きするのがコツです。
この一括修正も、1回では終わりませんでした。直した文章を社長がもう一度読み、まだ硬い箇所を指摘します。仕様を微調整して、AIがもう一度全ページを通す。この往復を3回ほど繰り返して、ようやく「カッコつけていない」文章になりました。1回で完璧を目指すより、短い往復を数回まわすほうが早く仕上がります。
もうひとつ、計画を変えた判断があります。当初の計画では、サービス紹介を5ページに分ける予定でした。広告運用・SEO/MEO・SNSとLINE・PRとデータ基盤、という切り方です。
でも公開の前に、1枚のサービスページに統合しました。理由はシンプルです。検索流入がまだ立っていない段階で細かく分けても、中身の薄いページが増えるだけだからです。
まず1枚で受ける。公開後にどんな検索語で人が来るかをダッシュボードで見る。データが出てから、必要なページだけを分ける。この「データが出てから分ける」方式にしました。
例外はひとつだけです。自社旅館の一次実績がある「旅館・宿の集客支援」だけは、独立ページのまま残しました。実績と検索意図がぴったり重なる場所は、最初から1枚立てる価値があります。
この判断を経て、公開時点の主要ページ構成は次の通りになりました。トップページ、Vision、サービス紹介(統合1枚)、旅館・宿の集客支援(独立ページ)、事例一覧、コラム一覧、会社概要、よくある質問、料金と支援の流れ、採用情報、お問い合わせです。ここに事例やコラムの個別記事が積み重なっていくので、記事を書き足すほどページ数は伸びていきます。
AIとの制作は、分けるのも統合するのも速いです。だから「完璧な設計を悩み続ける」より、「まず出してデータで直す」が現実的な戦い方になります。
この日、順調に進んだわけではありません。実際につまずいた3つと、その対処法をそのまま共有します。同じ道具を使うなら、先に知っておくと避けられるはずです。
この日、人間(社長)が手を動かした作業はほぼゼロです。やったことを正直に全部書きます。
つまり、人間の仕事は「判断・承認・ダメ出し」に寄りました。AIに任せると品質が下がる、のではありません。人間の時間が「作業」から「判断」に移る。これがこの日の、いちばん大きな実感です。
逆に言うと、判断する人が不在だとAIは暴走ではなく「無難」に流れます。「カッコつけすぎ」と言える人がいたから、サイトは実用的になりました。
公開して終わりではありません。ここからは検証のループに入ります。デプロイはGitHub経由でVercelを使って公開しています。コードを書いて終わりではなく、本番に反映するところまでが1セットです。
公開後は、GA4とSearch Consoleの実データを見る運用に切り替えます。この記事を書いている時点は、公式サイトの増強からおよそ2週間です。直近28日間の実データでは、アクティブユーザー2,031人、新規ユーザー1,961人。Search Consoleでは検索クリック568、表示回数6,023、平均クリック率9.43%、平均掲載順位9.92で、検索経由の流入が全体の約57%を占めています。
ページを増やしたことが、そのまま検索順位に反映されるわけではありません。検索エンジンに新しいページが認識されるまでには時間がかかります。だからこそ、公開した日で満足せず、同じ画面を月1回開いて数字を追う習慣に価値があります。
同じことを自社でやるなら、最小構成はこうなります。AIの「組織」は必須ではありません。1人と1台から始められます。
並列の3班体制は、速くするための工夫です。まずは1台で、要件定義(計画書)→デザイン(仕様書)→実装(制作)→検証(機械検品とダメ出し)→デプロイ(公開)の流れを一周してみてください。ページを増やすのは、その後で間に合います。
人ががんばって見張るのではなく、仕組みで守ります。使ってよい数字の一覧を先に渡す。文章のルールを1枚にして渡す。できたらリンク切れやスマホ表示を機械的に検品する。最後に人が読んで判断する。この4段があれば、品質は保てます。
条件つきでできます。条件は2つです。実績や会社情報など「書く素材」が先に揃っていること。そして判断する人がその日ずっとそばにいることです。素材集めから始める場合は、まず素材の整理に時間を使ってください。
私たちは対話型のAIコーディング支援「Claude Code」を使っています。特別な開発環境は要りません。まずは1台で「計画書を作って」と頼むところから始められます。並列の分業は速くするための工夫で、必須ではありません。
起こり得ますが、仕様書で担当ファイルの境界を先に切っておけば防げます。ページ単位で班を分け、ナビゲーションやフッターなど共通部分は1つの班に専任させています。見出しを増やした時は、目次のリンクと本文の見出しIDが一致しているかも機械でチェックしています。
終わりではありません。公開後はGA4とSearch Consoleの実データを見る運用に切り替えます。ページを増やしたことがすぐに検索順位へ反映されるわけではないので、月1回、同じ画面を開いて数字を追っています。