案件が増えるほど、社内の情報はバラバラになっていきます。私たちOne Ismは、地方の再興とAIマーケティングの支援を仕事にしながら、複数の案件と事業を並行して運営しています。あるとき、社内のどこに何があるのか、自分たちでも分からなくなっていることに気づきました。そこから、置き場所を4つに固定するところまで踏み込んで、フォルダ構造をゼロから設計し直しました。今日から使える具体的な手順として、一般化してお伝えします。
結論から書きます。社内の情報がバラバラになる原因は、置き場所のルールがないことです。
私たちは、案件ごと・業務ごとに置き場所を先に決め、新しく生まれるものは、決めた場所にしか置かない構造に設計し直しました。具体的には、置き場所を「案件」「自社事業」「共通の道具」「データ基盤」の4つだけに固定しました。
細かいルールを積み上げるのではなく、置き場所そのものを数少なく固定する。この考え方が、いちばん効きました。この記事では、なぜこの4つに落ち着いたのか、実際にどういう手順で整理したのか、つまずいた点まで含めてお伝えします。
私たちOne Ismは、2023年7月に設立した会社です。資本金は100万円からのスタートでした。今は複数の案件のご支援に加えて、自社で旅館を運営し、スクール事業なども手がけています。
ご支援している案件も、業種や規模はさまざまです。広告費46万円で月商387万円を達成したスクール事業の案件もあれば、1年で売上が約6倍になった北海道のホテルの案件もあります。案件が増えるほど、当然ながら扱う情報の量も種類も増えていきます。
案件ごとにフォルダを作り、業務ごとにファイルを作り、そのときの判断でなんとなく置いていく。最初は、それで困りませんでした。
ところが、案件の数が増えるにつれて、似たような名前のフォルダが複数できたり、どこに正しい情報があるのか分からなくなったりする場面が増えていきました。
探す時間が増えるだけではありません。同じ情報を2か所に置いてしまい、片方だけ更新して、内容が食い違うということも起きました。
特に緊張したのは、自社で運営する旅館のお客さまの個人情報を含むデータが、案件全般を扱う一般的な作業フォルダに紛れ込みかけたことです。整理のルールがなかったために、置き場所の判断が毎回その場しのぎになっていた、という証拠でした。
「バラバラでも、人間ならなんとなく分かる」。この前提自体が、そもそも危ういことに気づいたのは、この頃です。
私たちが決めたのは、細かいルールを増やすことではありません。置き場所そのものを、数少なく固定することでした。実際に固定した4つの置き場所は、次のとおりです。
大事なのは、この4つの「数」を絶対に増やさないことです。新しく何かを置きたくなったら、まずこの4つのどれかに本当に収まらないかを考えます。トップの階層に新しいフォルダを気軽に作らない、というルールを合わせて決めています。収まらない場合だけ、慎重に新設を検討します。
もう1つ、意識しているのが「列挙」ではなく「置き場所の固定」で守る、という考え方です。個人情報のような特に守るべき情報を扱うとき、除外するものを一つずつ書き出すやり方は、書き漏れがそのまま事故の原因になります。私たちは、個人情報を含むデータの置き場所を1箇所に固定した上で、そこから想定外の場所に出ていないかを機械的にチェックする仕組みを重ねています。書き出す壁を増やすのではなく、正本の場所を1つに決めて、そこだけを見張る。これが、いちばん漏れの少ないやり方でした。
正しい情報は、必ず1か所に決めます。同じ情報を複数の場所にコピーしません。コピーがどうしても必要なときも、どこが正しい情報かを、誰が見ても分かる状態にしておきます。迷ったときは、ルールを足すのではなく、置き場そのものを見直します。例外が増えてきたときこそ、ルールが複雑になっているサインだと捉えています。
ここからは、実際にどういう手順で整理を進めたかをお伝えします。専門的な知識がなくても、今日から始められる手順です。
整理を進める中で、私たちが実際につまずいた・注意している3つのパターンを共有します。
Before(整理前)。案件が増えるたびに、置き場所も無秩序に増えていきました。同じ資料が2つのフォルダにあり、どちらが最新か分からない。似た名前のフォルダが並び、探すたびに時間がかかる。個人情報を含むデータの置き場所も、案件ごとにばらばらでした。
After(整理後)。置き場所を4つに固定してからは、新しい案件・事業が増えても、置き場所に迷うことがなくなりました。正しい情報は必ず1箇所にあるため、古い情報を見て判断してしまう事故も減りました。個人情報を含むデータは専用の1箇所に固定し、機械的なチェックを重ねることで、うっかり紛れ込む心配もなくなりました。
置き場所を固定してから、まず変わったのは「探す時間」でした。どこにあるか迷う場面が、目に見えて減りました。
新しい案件や新しい業務が増えても、置き場所に迷わなくなりました。ルールが先にあるので、置く場所を毎回考える必要がありません。
情報が重複しにくくなったことも、大きな変化です。正しい情報が1か所に決まっていると、古い情報を見て判断してしまう事故も減ります。
たとえば、自社サイトのアクセス状況を確認したいとき、GA4のデータがどこにあるか迷うことはありません。直近28日間で見ると、アクティブユーザー2,031人、検索経由の流入が全体の約57%です。こうした数字を、探す時間をかけずにすぐ参照できる状態そのものが、情報整理の成果だと考えています。
何より変わったのは、情報を探すという作業そのものが、ほとんど発生しなくなったことです。案件の数が増えても、この状態を保てているのは、置き場所を4つに固定したからだと感じています。
私たちは、日々の業務の多くをAIエージェントに任せています。この経験の中で、気づいたことがあります。
情報の置き場所が曖昧なままだと、AIに仕事を任せたときに、間違った情報をもとに判断してしまうことがあります。人間なら「たぶんこっちが正しいだろう」と勘で補えても、AIは置いてある情報を、そのまま使います。
つまり、AIに仕事を任せる範囲が広がるほど、情報が正しい場所に置かれているかどうかが、そのまま仕事の精度に直結します。逆に言うと、置き場所さえ正しく固定しておけば、AIに任せられる仕事の範囲は広がっていきます。
情報整理は、AI活用の前提条件だと、今では考えています。ツールを入れる前に、まず置き場所を決める。この順番を守ることが、遠回りに見えて、いちばんの近道でした。
私たちは、①自社で旅館を運営する、②その型を他の宿へ広げる、③地方の若者に挑戦の場をつくる、④宿から地域全体へ広げる、という4段階のビジョンを掲げています。事業が広がるほど扱う情報も増えていくため、置き場所の設計は、事業が小さいうちに済ませておくべき経営課題だと考えています。
AIエージェントを実際の業務でどう使っているかは、関連記事「AIエージェントでサイト制作した実録」にも書いています。
まず「今どこに何があるか」を洗い出すことから始めます。整理のルールを先に決めるより、現状の散らかり方を把握するほうが早道です。そのうえで、置き場所の数を絞り込みます。
はい、必要です。人数が少ないほど「なんとなく」で運用しがちですが、それが後から一番のボトルネックになります。少人数のうちに決めておくと、後の負担が軽くなります。私たちも資本金100万円、少人数からのスタートでしたが、事業が小さいうちに置き場所を決めたことが、後の負担を大きく減らしました。
一度にすべてを整理しようとしないことです。まず置き場所のルールを決め、新しく生まれる情報から従わせます。古い情報は、必要になったタイミングで少しずつ移していきます。
置き場所を4つ決めるだけなら、1日あれば十分です。過去の情報をすべて移し切る必要はなく、新しく生まれる情報から従わせれば、その日から効果が出始めます。完全に整理し終わる、というゴールを設定しないことが、続けるコツです。
どちらが先というより、同時に進めることをおすすめします。私たちも、AIに仕事を任せる中で情報が見つからないという壁にぶつかり、整理の必要性に気づきました。
個人情報を含むデータは、他の情報よりもさらに厳密に、置き場所を1箇所へ固定することをおすすめします。私たちも、置き場所を固定した上で、そこから想定外の場所に出ていないかを機械的にチェックする仕組みを重ねています。人の注意力だけに頼らない、二重の安全網です。
いいえ、ツールだけでは解決しません。私たちが変えたのは、ツールではなく「どこに何を置くか」というルールです。ルールが先で、ツールはそれを支える手段だと考えています。