この記事は、人手不足に悩む旅館や宿の経営者に向けて書いています。私たちOne Ismは、創業140年の旅館を自社で運営しています。全9室の小さな宿で、限られた人手のまま数字を伸ばしてきました。この記事では、人手不足への向き合い方を実際の運用とあわせて公開します。
細かい話に入る前に、結論からお伝えします。私たちが人手不足に対してやったのは、この向き合い方でした。
この向き合い方のまま、この旅館の売上は前年同月比240%になりました。ここからは、具体的に何をやっているのかを、作業の手順・よくあるつまずき・実際の変化まで含めて書いていきます。
全9室の小さな宿を、限られた人手で運営しています。だからといって、仕事を丸ごとAIに渡すことはしていません。
私たちが大事にしているのは「人とAIがひとつのチームで動く」という考え方です。One Ismの一貫した方針でもあります。情報発信を担うAI、数字を管理するAIというように、機能ごとに役割を分けて運用しています。人間のスタッフに役割があるのと同じ考え方です。
この体制を自社の旅館で先に検証しているのには理由があります。私たちは2023年7月に設立した会社で、①自社で旅館を運営する→②その型を他の宿へ広げる→③地方の若者に挑戦の場をつくる→④宿から地域全体へ、という順番で事業を考えています。人手不足という、地方の宿がどこも抱えている課題を自社で先に乗り越えておかないと、他の宿へ広げられる型にはならないと考えたからです。この旅館は、その1軒目にあたります。
AIに任せるのは、情報発信や集客の運用、数字の見える化といった作業です。お客さまと直接向き合う部分は、人が担います。任せる部分と、任せない部分を先に線引きする。これが、人手不足への向き合い方の土台になっています。
ここからは、AIに任せている作業を、実際の手順に沿って具体的に書きます。特別な技術の話ではありません。日々の運用そのものです。
季節の見どころや館内の様子など、発信するネタは現場にあります。ここの手順はこうです。まず、現場のスタッフが気づいたことを短くメモに残します。次に、AIがそのメモや季節の行事カレンダーをもとに、投稿の下書きを複数案つくります。そして、人が写真を選び、下書きの言い回しや事実関係を確認します。最後に、AIが決まった時間に予約投稿します。
人が担うのは「ネタの種を残すこと」と「公開前の最終確認」だけです。文章を一から書く時間、投稿する時間はAIに任せています。担当者が繁忙期で手が回らない日でも、発信が止まりません。この積み重ねで、SNSの総フォロワーは3万人を超えました。
広告の数字を毎日追いかけるのは、地味ですが手間のかかる作業です。ここもAIが数字を確認し、状況をまとめます。具体的には、広告の消化・クリック・予約への転換といった数字を毎日自動で取得し、前日・前週と比べて大きくずれていないかをAIが確認します。CPA(1件あたりの獲得コスト)が急に上がった、消化のペースが極端に遅い、といった変化があれば、その日のうちに知らせが来る仕組みです。週に1回は、事実→言えること→次の一手、の順でレポートをAIがまとめます。人は、その報告をもとに予算や入稿内容を最終判断するだけで済みます。
この「AIが数字を整え、人が判断する」運用の型は、自社の旅館だけでなく他の支援先にも展開しています。くわしい数字は次の「成果」の章で紹介します。
広告・売上・アクセスの数字は、1枚のダッシュボードに自動で集まる仕組みにしました。予約の数字は、台帳を人が確認して同じ画面に並べています。数字を探し回る作業から、人手を切り離しています。
たとえば、この旅館の公式サイトのアクセス状況は、直近28日間でアクティブユーザー2,031人、新規ユーザー1,961人、検索クリック568回、表示回数6,023回、平均クリック率9.43%、平均掲載順位9.92位です。検索経由の流入が全体の約57%を占めています。こうした数字を毎回自分たちで手集計する必要はなく、ダッシュボードを開けば揃っている状態にしています。人がやるのは「増えたか減ったか」に気づくことと、気づいた変化に対してどう動くかを判断することだけです。
AIエージェントを使っているのは、日々の運用だけではありません。公式サイトの制作でも、同じ仕組みを使いました。くわしくは「AIエージェントでサイト制作した実録」に書いています。
この運用にたどり着くまでに、私たちも何度かつまずいています。同じ人手不足の宿がこれから始める時に、避けられるつまずきを共有します。
AIに任せる前と後で、現場の時間の使い方がどう変わったかを、2つの作業で比べてみます。
作業をAIに任せた分、人の時間は空きます。その時間を、私たちは接客と現場の判断にあてています。
チェックインでのお出迎え、館内でのご案内、宿泊中の細やかな気配り。これらは、AIには代われません。
温泉やお料理の状態を見て、その日の判断をする。急な変化に現場で対応する。これも、人にしかできない仕事です。空室状況や当日の館内の様子といった、現場に立たないと分からない情報の最終確認も、人の役目として残しています。
AIが情報発信と数字の管理を支え、人が接客と判断に集中する。この役割分担が、全9室の宿を少ない人手で回せている理由です。
この体制のまま、スタッフの人数を大きく増やすことなく、数字は伸びました。結果を正直に公開します。
情報発信を止めなかったこと。集客の運用を毎日回せたこと。数字を見ながら判断できたこと。この積み重ねが、次の数字につながっています。
「AIが数字を整え、人が判断する」という同じ運用の型は、自社の旅館だけでなく、他の支援先でも成果につながっています。たとえば、月額広告費30万円で最高ROAS1,200%超を記録した例、広告費46万円で月商387万円を達成したスクール事業、北海道のホテルで1年で売上が約6倍になった例があります。業種は違っても、人がすべてを手で追わず、AIが整えた数字をもとに判断するという型そのものは変わりません。
同じ人手不足を抱える宿が、明日から始めるとしたら。私たちがやってきた手順を、そのまま3ステップにまとめました。
1つ任せて回るようになったら、次の1つに進む。この繰り返しで十分です。
仕組みを整える初期の手間はかかります。ただし、大掛かりな設備投資が必須というわけではありません。私たちも、日々の運用の中で少しずつ仕組みを育ててきました。
専門知識は必須ではありません。私たちが大事にしたのは、任せる作業と任せない作業を先に決めることです。ここさえ決まれば、あとは仕組みで運用できます。
いいえ。人を減らすためではなく、限られた人手を接客と現場の判断にあてるために使っています。情報発信や数字の管理をAIが支える分、人は現場に集中できます。
むしろ逆です。情報発信や数字の管理にかかっていた時間が空く分、接客に使える時間は増えます。お客さまと直接向き合う部分は、これまで通り人が担っています。
おすすめしません。特に空室状況や季節限定の内容など、現場でないと分からない事実は、公開前に必ず人が確認しています。ここを省略すると、案内と実態がずれてしまいます。
まずは、日々の作業を書き出すことをおすすめします。そのうえで、人にしかできない作業と、任せられる作業を分けます。任せられる作業の中で一番時間を取られているものから、1つずつ仕組みにしていくのが現実的です。
宿泊業の人手不足や、AIを使った運用体制づくりのご相談を承っています。自社旅館で実際にやっている運用をもとに、次の一手をお伝えします。支援内容のくわしい説明は「旅館・宿の集客支援」のページをご覧ください。
ご相談は無料です。1営業日以内にご返信します。無理な営業はしません。