投稿づくりに時間を取られすぎている。そう感じている宿や小規模事業者の方へ向けて書いています。私たちOne Ismは、自社で運営する旅館のSNSを、AIと人で分担しながら運用し、総フォロワー3万人超まで育てました。どこまでをAIに任せ、どこからを人が担っているか。具体的な作業の手順と、実際につまずいた失敗パターンまで、正直にお伝えします。
SNS運用に追われている方に、長い前置きは要らないと思います。結論から先にお伝えします。私たちの分担ラインは、主に4つです。
分けている基準はひとつです。時間のかかる「作業」はAIへ、取り返しがつかない「判断」は人へ。ここから先は、なぜこの線引きにしたのか、そして実際にどう運用しているかを、正直にお伝えします。
投稿の作成からコメント返信まで、技術的にはすべてAIに任せることもできます。実際、そうしている運用も見かけます。ただ、私たちはそこまで踏み込みませんでした。
理由は単純です。SNSは、発信の場であると同時に、お客さまとの関係が生まれる場所だからです。文章の作業効率だけを見れば、全部を自動化したほうが早いかもしれません。ただ、フォロワーが見ているのは、効率ではなく、そこにいる人の温度だと考えています。
そこで私たちは、時間のかかる「作業」の部分はAIに任せ、判断が必要な「言葉」と「関係」の部分は人が持つ、という分け方にしました。全部を人でやる余力もなければ、全部をAIに預ける勇気もなかった、というのが正直なところです。
AIに任せているのは、主に3つの作業です。それぞれ、実際に渡している情報と、AIが出してくる成果物のかたちまで、そのままお伝えします。
AIに渡す情報は、主に3つです。その日にあった出来事、季節や天候などの背景情報、そして過去に反応がよかった投稿の型です。この3つを渡すと、投稿文の骨組みと、ハッシュタグの候補までまとめて出てきます。ゼロから文章を考える時間がなくなり、着手のハードルが大きく下がりました。
撮影した写真は、そのまま並べると明るさや色味がまちまちになります。明るさ・コントラスト・トリミングの調整をAIに任せることで、投稿全体の見た目をそろえています。人が1枚ずつ手作業で調整していた時間を、ここでなくしました。
投稿ごとの保存数・シェア数・コメント数、そして時間帯別の反応を、AIが毎週まとめています。感覚だけで「今週は良かった」と判断するのではなく、数字を見て次の投稿の型を決める習慣ができました。伸びている投稿の共通点をAIに拾わせ、次の下書きの材料にする。この循環が、作業量を増やさずに投稿を続けられている理由のひとつです。
一方で、人が持ち続けている作業も2つあります。ここは「早さ」より「基準」を大事にしている部分です。
AIの下書きは、言葉づかいが整いすぎていたり、テンプレート的な言い回しになっていたりすることがあります。人が読み直すときに見ているのは、主に3点です。事実と違う表現が混ざっていないか。旅館の言葉として不自然でないか。そして、特定の出来事や個人の事情に触れすぎていないか。この3点を確認してから、初めて投稿します。
コメントやメッセージには、質問もあれば、些細な感想もあります。定型文で返すことは技術的に可能ですが、私たちはあえて一つずつ人が読んで返しています。過去のやり取りや、宿泊時のエピソードを踏まえて返信できるのは、人にしかできない部分だと考えています。ここを省くと、フォロワーとの距離が離れていくと感じたため、あえて残しています。
AIと人で分担する運用は、線引きさえ決めればすぐ回るわけではありません。私たちが実際につまずいた・見つけた3つを、対処法とあわせて共有します。
言葉だけで説明しても伝わりにくいと思うので、AIの下書きに人が手を入れると何が変わるか、よくあるパターンで示します。
「本日は温泉の湯加減も最高でした。四季折々の自然に囲まれた宿で、心も体も癒されるひとときをお過ごしください。ぜひ一度お越しください。」というような、整ってはいるものの、どの宿にも当てはまりそうな言葉になりがちです。
「今朝は霧が湯気とまざって、庭が真っ白でした。朝食の前に少し外を歩くだけで、体がゆるみます。」というように、その日その場所でしか起きなかった、具体的な一場面に置き換えます。テンプレート的な言い回しと、押しつけがましい呼びかけを削るだけで、言葉の温度は大きく変わります。
AIの下書きが悪いわけではありません。骨組みとしては十分に機能しています。ただ、最後にその宿らしい一場面へ置き換える作業だけは、人が担うべきだと考えています。
専門的な準備がなくても、今日から同じ分担を試せます。以下の手順どおりに進めれば迷いません。
この3ステップを1週間続けるだけでも、投稿にかかる時間の感覚は変わるはずです。線引きは、完璧に決め切ってから始める必要はありません。まず動かしながら、つまずいたところだけ直していく進め方で十分です。
この分担にしてから、投稿にかかる時間は減りました。それでいて、言葉と関係の部分は人が持ち続けているため、発信の雰囲気は変わっていません。積み重ねた結果として、次の数字を残すことができました。
フォロワー数と売上は、直接イコールではありません。ただ、発信を止めずに続けられたこと、そして言葉の質を落とさずに量をこなせたことは、この分担があったからだと感じています。同じ旅館では、最高月商1,100万円という結果も出ており、SNSでの発信を止めずに続けられたことは、その土台のひとつになっていると考えています。
迷ったときは「言葉の最終決定権を誰が持つか」で分けると判断しやすいです。下書き・画像加工・数字の分析はAIに向いています。最後の言葉選びと、お客さまとのやり取りは人が持つ、という線引きをおすすめしています。
AIが作るのは、あくまで下書きです。そのまま投稿はせず、最終的な言葉は必ず人が見直しています。テンプレート的な言い回しを削り、具体的な出来事に置き換える。この一手間を省かないことが、雰囲気を保つうえで大切だと感じています。
早さだけを考えれば、自動化もできます。ただ私たちは、コメントは実際にお客さまと関係が生まれる場だと考えていて、あえて人が返しています。ここを省くと、フォロワーとの距離が離れていくと感じたためです。
はい、できます。私たちも、大きな体制ではなく少人数で運用しています。分担のラインさえ決めてしまえば、人数が少なくても回せる仕組みになります。今日から書き出せる3つの手順として、記事内でも紹介しています。
はい、可能です。SNS運用単体でのご相談も承っています。まずは現状の運用体制と、どこに時間がかかっているかをお聞かせください。
はい、下がる傾向にあります。下書き・画像加工・分析にかかっていた時間をAIに任せることで、外部への発注や人員を増やさずに投稿の量を維持できています。浮いた時間は、言葉選びとコメント対応に充てています。
分担を整えてすぐに数字が動いたわけではありません。投稿を止めずに続けられるようになったことがまず先で、フォロワー数や売上の変化は、そのあとに積み重なって表れてきました。焦らず継続することを優先しています。