クリエイティブが当たらない時、
最初に疑うこと

写真を変えても、文言を変えても、数字が動かない。そんな経験はないでしょうか。私たちも、同じところでつまずいたことがあります。多くの場合、原因はクリエイティブではありません。疑う順番を、実際の運用をもとにお伝えします。

自社で運営する創業140年の旅館 旅館の木造の湯小屋|広告クリエイティブが当たらない時に疑うべき原因の診断手順
FIELD — RYOKAN / JAPAN  ·  この旅館

先に結論。疑う順番はこの4つ

クリエイティブを何本作り直しても、成果が変わらない。そんな時、次にクリエイティブをまた変えるのは、いったん止めてください。順番に、次の4つを確認します。

1
計測が正しく入っているか。そもそも数字が正確でなければ、良し悪しの判断そのものが成り立ちません。
2
ターゲティングが合っているか。見せる相手がずれていれば、どんなクリエイティブも刺さりません。
3
遷移先ページに離脱の原因がないか。クリックされているのに成果が出ないなら、広告の先に問題があります。
4
予算配分が分散しすぎていないか。データが十分に集まらないと、正しい判断ができません。

ここから先は、なぜクリエイティブから疑ってしまうのか、そして実際に何を見ればいいのかを、順番にお話しします。

なぜ、クリエイティブから疑ってしまうのか

成果が出ない時、多くの人がまずクリエイティブを疑います。理由は単純です。いちばん変えやすく、いちばん目に見えるからです。

写真を差し替える、文言を書き直す。どちらも、その場でできる作業です。ターゲティングの見直しや、遷移先ページの改修に比べると、手間がかかりません。

ただ、手を動かしやすいことと、原因がそこにあることは、別の話です。私たちも、この旅館の広告運用で、同じ思い込みをしたことがあります。

クリック率が低いわけではないのに、予約に結びつかない週がありました。その時、最初に疑ったのは写真でした。何本か差し替えても、数字は動きませんでした。

あとから振り返ると、原因はクリエイティブではありませんでした。詳しくは、このあとの章でお話しします。

本当に疑うべきポイント(実際の確認手順)

ここから、先ほどの4つを、実際にどう確認するかという手順で見ていきます。私たちが自社の旅館の広告運用で、実際に画面を開いて確認している順番です。

①計測が正しく入っているか

最初に確認すべきは、数字そのものの正しさです。予約完了ページまで計測タグが届いていなければ、成果は実際より少なく見えます。手順は次の3つです。

1
広告管理画面(Metaなら広告マネージャ)の「成果」列に出ている予約・問い合わせの件数と、実際の予約台帳や申込件数を突き合わせます。ここに大きな差があれば、計測側を疑います。
2
自分でテスト予約・テスト問い合わせを1件行い、GA4の「リアルタイム」画面でイベントが発火するかを確認します。届いていなければ、計測タグの設置漏れです。
3
広告管理画面の「イベントマネージャ」で計測タグの診断を開き、重複計測やパラメータ欠落などの警告が出ていないかを確認します。

ここで見つけた計測のズレは、そのままクリエイティブの評価を歪めます。計測が直るまでは、他の3つの確認結果も割り引いて見る必要があります。

②ターゲティングが合っているか

計測に問題がなければ、次に見せる相手を確認します。表示回数が多いのに反応が薄いなら、興味のない層に見せている可能性があります。

1
広告管理画面の「内訳」から「年齢と性別」「地域」を選び、セグメントごとのクリック率・コンバージョン率を並べて見ます。極端に数字が悪いセグメントがあれば、そこだけ除外・縮小します。
2
実際に予約・購入してくれた人の属性(年代・エリア)と、いま配信している設定の属性を並べて比較します。ずれていれば、設定を実態に寄せます。
3
フリークエンシー(同じ人に何回表示したか)が上がっているのにクリック率が下がっている場合、同じ人に見せすぎて反応が鈍っているサインです。オーディエンスを広げます。

良いクリエイティブでも、届く相手を間違えれば反応は出ません。ここを直さないままクリエイティブだけを変え続けても、同じ結果を繰り返します。

③遷移先ページに離脱の原因がないか

クリックはされているのに、予約や問い合わせに至らない。この状態は、広告ではなく遷移先ページに原因がある合図です。

1
GA4の「エンゲージメント」>「ランディングページと画面クラス」を開き、広告の遷移先URLごとの平均エンゲージメント時間と直帰率を確認します。他のページと比べて極端に短い・高いページを探します。
2
表示速度を計測します。読み込みに時間がかかるほど、クリックした人がその場で離脱しやすくなります。
3
予約・問い合わせフォームにたどり着くまでのクリック数を、実際にスマホで数えます。手数が多いほど、途中で離脱する人が増えます。
4
スマホの実機で、料金・空室状況が何もタップせずに見えるかを確認します。見えるまでに探す手間があると、そこで見込み客を逃します。

表示速度、料金の分かりやすさ、予約までの手数の少なさ。ここに迷いや遅さがあると、せっかくのクリックが離脱に変わります。

④予算配分が分散しすぎていないか

複数のクリエイティブに予算を薄く配ると、どれも十分なデータが集まりません。データが少ないままでは、良し悪しの判断はつきません。

1
広告セット・広告ごとの週間の表示回数と消化金額を並べます。極端に少ない広告は、比較の材料にならないため、一時停止か他の広告への統合を検討します。
2
「学習中」のステータスが長期間続いている広告セットがないかを確認します。配信の最適化が安定していない状態のまま比較すると、正しい判断ができません。
3
反応の良い上位1〜2本に予算を寄せ、比較のためのベースラインとなるデータを先に確保します。

反応の良い広告に予算を寄せ、判断に足るデータを先に確保します。診断は、データがそろって初めて意味を持ちます。

この4つを順番に確認して、それでも原因が見当たらない時に、初めてクリエイティブを疑います。順番を飛ばさないことが、遠回りに見えて、いちばんの近道です。

診断でつまずきやすい3つの失敗パターン

4つの確認手順そのものは難しくありません。ただ、確認の途中でつまずきやすい場面が3つあります。私たちが実際に見てきた・経験したものです。

1
学習期間中にクリエイティブを差し替えてしまう。配信を始めて数日で数字が伸びないからと差し替えると、配信の最適化がリセットされ、かえってデータが貯まらなくなります。対処法は、最低でも1週間程度、目安の表示回数を確保してから判断することです。焦って動かすほど、判断材料は遠のきます。
2
サンプル数が少ないまま良し悪しを決めてしまう。表示回数がまだ少ない段階で「効かない」と結論づけると、たまたまの誤差を本物の傾向と誤認します。対処法は、ある程度の表示回数とコンバージョン数がたまってから比較することです。数日の結果だけで見切りをつけないようにします。
3
広告管理画面の数字とGA4の数字を、そのまま比べてしまう。広告管理画面側のコンバージョン数とGA4側のコンバージョン数は、アトリビューションウィンドウやクッキーの扱いが違うため、そのままでは一致しません。対処法は、どちらを判断の軸にするかを先に決め、そちらで一貫して見ることです。両方の数字を毎回突き合わせて悩む必要はありません。

原因がクリエイティブでなかった例

私たちの旅館の広告運用でも、こうした場面がありました。写真を何本か差し替えても、予約が増えない週です。

クリック率だけを見ると、悪い数字ではありませんでした。つまり、クリエイティブは仕事をしていたということです。問題は、その先にありました。

BEFORE
クリック率は悪くないのに、予約が増えない。写真とキャッチコピーを何本か差し替えたが、数字は動かなかった。遷移先ページを見直すと、予約までの手数が多いままになっていた。クリックした人の一部が、フォームにたどり着く前に離脱していた。
AFTER
クリエイティブは変えずに、遷移先ページの導線だけを整えた。同じクリエイティブのまま、予約の数字が動いた。この旅館は、その後も含めた運用の積み重ねで、売上が前年同月比240%、最高月商1,100万円、月額広告費30万円で最高ROAS1,200%超という結果につながっている。

クリエイティブを疑い続けていたら、たどり着けなかった原因です。これは、この旅館だけの特殊な話ではないと考えています。

スクール事業の支援でも、同じ順番で確認したことがあります。クリエイティブより先にターゲティングの設定を見直した結果、広告費46万円で月商387万円という数字につながりました。北海道のホテルでは、ターゲティングと遷移先ページを先に整えたことが土台になり、1年で売上が約6倍になっています。

クリック率が悪くないのに成果が伸びない時は、広告の外側を疑う。私たちが運用のたびに確認している、基本の型です。

今日からできる診断チェックリスト

ここまでの確認手順を、実際に自分の広告管理画面で開いてみましょう。専門知識がなくても、以下の手順どおりに進めれば迷いません。

1
広告管理画面を開き、「列」を「成果」に切り替える。予約や問い合わせの件数が表示されます。この数字を、実際の予約台帳や申込件数と3分だけ突き合わせます。大きなズレがあれば、そこが最初の疑うべき場所です。
2
「内訳」から「年齢と性別」「地域」を選ぶ。セグメントごとのクリック率を見て、極端に悪いセグメントをメモします。実際の顧客属性とずれていないか、頭の中で照らし合わせます。
3
GA4「エンゲージメント」>「ランディングページと画面クラス」を開く。広告の遷移先URLの平均エンゲージメント時間を確認します。他のページより極端に短ければ、遷移先ページに離脱の原因があります。
4
広告セットごとの週間表示回数を並べる。極端に少ない広告があれば、一時停止か統合を検討します。反応の良い広告にデータを集中させます。

この4ステップを、クリエイティブを差し替える前に一度通す。それだけで、遠回りせずに本当の原因へたどり着けます。

よくある質問

クリエイティブを変えても数字が変わらない時、何を疑えばいいですか。

まず計測が正しく入っているかを確認します。そのうえで、ターゲティング、遷移先ページ、予算配分の順に見ていきます。クリエイティブは、最後に疑う場所だと考えています。

ターゲティングが合っているかは、どう確認すればいいですか。

クリック率が極端に低い、または表示回数のわりに反応が薄い場合は、そもそも見せる相手がずれている可能性があります。年齢・地域・興味関心の設定を、一度見直すことをおすすめします。

遷移先ページの何を見ればいいですか。

クリックされているのに予約や問い合わせに至っていないなら、遷移先ページに離脱の原因があります。表示速度、料金の分かりやすさ、予約までの手数を確認します。

予算配分はどう見直せばいいですか。

複数の広告に予算が薄く分散していると、どれも十分なデータが集まらず、良し悪しの判断がつきません。効いている広告に予算を寄せることも、診断の一部です。

どのくらいの期間で見切りをつければいいですか。

配信を始めてすぐの数日で判断すると、データ不足のまま間違った結論を出しがちです。ある程度の表示回数と期間を確保したうえで、順番に確認することをおすすめします。

配信を始めてすぐに数字が伸びません。クリエイティブを差し替えていいですか。

配信直後の学習期間中に差し替えると、配信の最適化がリセットされ、かえってデータが貯まらなくなります。最低でも1週間程度、目安の表示回数を確保してから判断することをおすすめします。

広告管理画面の成果とGA4の数字が一致しません。どちらを信じればいいですか。

広告管理画面とGA4では、コンバージョンの数え方(アトリビューションウィンドウやクッキーの扱い)が異なるため、数字がそのまま一致することはほとんどありません。どちらを判断の軸にするかを先に決め、そちらで一貫して比較することをおすすめします。

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