AIの成果物を、
AIにチェックさせている話

AI活用を検討しているものの、「AIの成果物をそのまま出して大丈夫か」と不安な経営者へ向けて書いています。私たちOne Ismは、AIが作った記事・資料・コードなどの成果物を、必ず別の観点でチェックする工程を挟んでから世に出しています。作る側と検証する側を分けることで、AI活用でも品質を落とさない仕組みを作りました。その中身を、正直にお伝えします。

AIの成果物をAIにチェックさせている話|品質を落とさない検証工程のイメージ
PROCESS — QUALITY CHECK  ·  成果物の検証工程

先に結論。作る側と検証する側を分けている

結論から先にお伝えします。私たちは、AIが作った成果物を、そのままお客さまや世の中に出すことはしていません。作る工程と、検証する工程を分けています。

1
作る工程と、検証する工程を分ける。同じ視点で作ったものを、同じ視点で見返しても、見落としは残ります。
2
検証は、5つの観点で行う。事実確認・要件充足・動作と表示崩れ・データの安全性・表現とデザインの標準です。そのつどの感覚ではなく、先に決めたチェック項目に沿って見ます。
3
基準を満たさなければ、差し戻す。理由と直し方をセットにして、作った側に戻します。差分だけを再検証し、往復を繰り返します。
4
最終的に、人が確認してから出す。検証を通っても、世に出す判断と、公開・送信などの後戻りしにくい操作は、必ず人が行います。

ここから先は、この仕組みをなぜ作ったか、実際に何をどう見て、どう差し戻しを回しているかを、順番に説明します。

なぜ検証工程が必要か

AIは、文章でも資料でもコードでも、自然な形に仕上げるのが得意です。ただ、自然に見えることと、正しいことは別です。存在しない事実や、根拠のない数字を、違和感なく書いてしまうことがあります。

もうひとつの落とし穴は、作った本人が見返しても気づきにくいという点です。これは人の仕事でも同じです。自分で書いた文章を自分で校正しても、思い込みごと見落とすことがあります。AIも同じ理屈で、作った工程と同じ視点のまま確認すると、同じ見落としが残ります。

実際にあった例です。広告成果をまとめた資料の下書きで、「広告費でROAS1200%超を達成」という一文の金額部分が、実際の記録と違う数字になっていたことがありました。文章としては自然で、読むだけでは違和感がありません。検証工程で本文の数字と広告レポートの実数を1つずつ突き合わせたところ、ずれに気づき、差し戻しました。正しくは、月額広告費30万円でROAS1200%超です。

特にリスクが大きいのは、外部に公開されるもの・数字や固有名詞など事実に基づく情報・お客さまに直接渡るものです。ここを「AIが作ったから、たぶん大丈夫」で通すのは、私たちは危ないと考えています。だからこそ、作る工程とは別に、検証する工程を必ず用意しています。

具体的に何を、どんな基準で見ているか(5つの観点)

対象は、記事・資料・配信文・コード・提案の中身など、外に出るものすべてです。作った工程とは別の工程に必ず通します。担当を分けることで、視点そのものを変えます。見ている観点は、主に次の5つです。

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事実確認。使ってよいと決めた情報だけで書かれているか。数字・固有名詞・実績は、一次データ(広告レポート・計測データ・契約書など)と突き合わせます。根拠のない数字や、断定できない表現が混ざっていないかも見ます。
2
要件充足。もともと依頼された目的・条件を満たしているか。依頼内容を一つずつ書き出し、成果物と照らし合わせます。抜けている項目、勝手に増えている項目の両方を確認します。
3
動作・表示崩れ。Webページやアプリ、コードであれば、実際にクリックし、入力し、送信して動かします。画面幅を変えて表示が崩れていないか、リンク切れがないかも確認します。見た目が整っていても、実際に触ると動かないことがあるためです。
4
データの安全性。個人情報や非公開の顧客データが、成果物や記録に混ざっていないか。本番環境への反映・外部への送信・公開など、後戻りしにくい操作を、成果物自体が勝手に実行していないかも見ます。
5
表現・デザインの標準。文章の型(短い文、読点を減らす、敬体で統一するなど)や、デザインの配色・レイアウトのルールに沿っているか。公開先の規約に反していないかも確認します。

基準は、そのつど決めるのではなく、先にチェックリストとして文書化しています。基準を先に決めておくと、検証する側の気分やその日の調子で、判定がぶれることがありません。

差し戻し→再検証のループをどう回しているか

検証は、1回見て終わりにする作業ではありません。基準を満たすまで、差し戻しと再検証を繰り返す前提で仕組みを組んでいます。実際の流れは、次の手順です。

1
依頼内容を並べて読み合わせる。検証する側は、まず元の依頼・要件を読み直します。作った側の意図を先に理解してから、成果物を見ます。
2
5つの観点を順番にチェックする。事実確認→要件充足→動作・表示崩れ→データの安全性→表現・デザインの順に見て、観点ごとに合否をつけます。
3
基準に反する項目は、理由と直し方を1セットで書く。「ここが基準に反している」だけでなく、「こう直せば基準を満たす」まで書いて差し戻します。
4
作った側は直したものを再提出する。検証する側は、最初からすべてを見直すのではなく、差し戻した項目の差分を優先して再チェックします。
5
全項目が基準を満たして、初めて合格とする。合格した成果物だけが、人の最終確認に進みます。

差し戻した内容は、その場で終わらせずに記録として残しています。同じ種類の見落としが繰り返されていないかを、あとで振り返れるようにするためです。検証は一回きりの合否判定ではなく、次に活かす材料でもあります。

つまずきやすい2つの失敗パターン

この仕組みを回す中で、私たちが実際につまずいた・気をつけている失敗パターンを2つ共有します。

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「もっともらしい数字」がそのまま通ってしまう。AIが書く文章は自然なので、数字や固有名詞が間違っていても、読んだだけでは気づきにくいです。対策は、数字は必ず一次データと突き合わせるルールを、検証の1項目として固定することです。感覚での「たぶん合っている」を通さないようにしています。
2
差し戻しの理由が抽象的で、直し方が伝わらない。「もっと良くして」「ここが弱い」とだけ伝えると、作り直しても同じ理由でまた差し戻しになります。対策は、差し戻す時に必ず「どこが」「どの基準に」「どう反しているか」「どう直せば満たすか」までセットで書くことです。抽象的な差し戻しは、往復の回数を増やすだけだと考えています。

最終的な人の役割

検証工程を挟んでいても、それで人の仕事がなくなるわけではありません。検証を通ったものを、最終的に世に出すかどうかは、必ず人が確認して判断します。

ここでの人の役割は、細かい誤字や体裁を一つひとつ探すことではありません。全体として意図どおりか、公開して問題ないかを、最後にまとめて判断することです。検証工程が手前の見落としを減らしているぶん、人はこの最終判断に集中できます。

もうひとつ、権限が必要な操作は、常に人の手で行っています。実際に公開する・外部に送信する・アカウントに反映する、といった後戻りしにくい操作です。仕組みで守れる範囲と、人にしか担えない範囲を、分けて考えています。5つの観点でのチェックと、差し戻し→再検証のループは、あくまで人の最終判断を確かなものにするための手前の工程です。

よくある質問

AIが作ったものを、AIがチェックして意味がありますか。

はい、意味があります。大事なのは、作った工程と検証する工程を分けることです。同じ視点で見返しても、同じ見落としが残ります。別の観点・別の基準で見る工程を挟むことで、見落としに気づけます。

どんな基準でチェックしていますか。

主に5つです。事実確認、要件充足、動作と表示崩れ、データの安全性、表現とデザインの標準です。基準は先に文書化しておき、そのつど感覚で判断しないようにしています。

検証で数字の間違いが見つかることはありますか。

あります。広告費や成果などの数値は、必ず一次データと突き合わせて確認しています。文章としては自然でも、数字が実際の記録と違っていれば差し戻します。

動作確認は何をしていますか。

Webページやアプリであれば、実際にクリックしたり入力したりして、表示が崩れていないか、意図どおりに動くかを確認します。見た目が整っていても、実際に触ると動かないことがあるためです。

チェックに落ちたらどうなりますか。

理由と直し方をつけて、作った側に差し戻します。合格するまでは、外に出しません。差し戻した内容は記録に残し、同じ間違いを繰り返さないための材料にしています。

人はまったく確認しないのですか。

いいえ、最終的に世に出すかどうかは、必ず人が確認して判断します。検証工程は、人が確認する前の段階を整えるためのものです。人の確認する量を減らすためではなく、確認の質を上げるための仕組みです。

この仕組みは、支援先の案件にも使っていますか。

はい。記事・資料・コード・配信文など、外に出るものはすべて同じ検証工程を通します。自社と支援先で基準を変えることはしていません。

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