限界集落・過疎地でも
事業は成り立つのか数字で見るこの旅館の1年

「田舎だから無理」という言葉を、これまで何度も聞いてきました。私たちOne Ismは、人口約6,000人ほどの小さな村で、創業140年の旅館を自社で運営しています。この記事では、煽らず、数字だけで検証します。

地方の田園風景|人口約6,000人の村にある旅館の立地
FIELD — RYOKAN / JAPAN  ·  この旅館

先に結論。「田舎だから無理」への反証です

詳しい話に入る前に、結論からお伝えします。人口約6,000人の村にある宿でも、この1年で示せた事実はこの4つです。

1
人口約6,000人の村にある宿でも、最高月商1,100万円を記録しました。立地の小ささと、売上の小ささは、必ずしも一致しません。
2
売上が伸びたのは、都市に近づいたからではありません。届け方を、広告とSNSに変えただけです。前年同月比では240%まで伸びました。
3
SNSのフォロワーは、都市部の宿と同じ土俵で伸ばせました。総フォロワーは3万人を超えています。
4
この型は、旅館1軒だけの特殊な結果ではありません。業種の違う自社事業でも、同じ考え方で数字が動いています。ここから先は、その中身を具体的に書いていきます。

この記事は、地方や辺境だからと事業をあきらめかけている方に向けて書いています。特別な成功譚ではありません。数字と事実だけを、順番に並べていきます。

人口6,000人の村にある、9部屋の宿の話

私たちが運営するこの旅館は、人口数千人規模の小さな村にあります。山あいの、古くからの温泉地です。

人口減少や高齢化が進む地域は、限界集落や過疎地と呼ばれることがあります。中心地から離れた、こうした小さな村も、そう語られることの多い地域のひとつです。

私たちが運営するこの旅館は、創業140年、全9室の宿です。運営を引き継ぐ前は、廃業寸前の状態でした。それを株式会社One Ismが事業承継し、自社で運営しています。

誰が、どういう会社が引き継いだのか

One Ismは2023年7月に設立した会社です。資本金は100万円、代表は大橋祐哉です。ミッションに掲げているのは「地方から、日本を再興する」の一言です。この旅館は、そのミッションを自分たちの手で証明するための、最初の現場でした。

辺境で事業を続けるには、旅館の現場だけでなく、広告・SNS・数字の管理を回す人が必要です。私たちは採用の基準を「志・至誠・円融自在」の3つに絞っています。立地の不利を、少人数の熱量と役割分担で埋めるためです。何人いても方向がバラバラでは、辺境というハンデは埋まりません。

数字で見る1年間

自社で運営をはじめてから、この旅館で実際に出た数字です。誇張はしていません。管理画面と帳簿にある数字だけを、そのまま書いています。

売上・前年同月比
240%
前年同月の2.4倍に成長
最高月商
1,100万円
人口約6,000人の村にある9室の宿で
SNS総フォロワー
3万人超
Instagram 2.1万人・LINE 5,000人・X 6,800人
自社事業 · この旅館 · 実際の運用データ

広告のほうも、あわせて書いておきます。月額30万円の広告費で、ROASは最高1,200%超でした。広告費に対して、売上で10倍以上が返ってきた計算です。

これらはすべて、中心地から離れた人口約6,000人の村で出た数字です。都市部の宿と同じ物差しで、比べられる数字だと考えています。

Before / After で見る変化

承継前は、廃業寸前でした。予約サイトや口コミなど、人づてに知られるのを待つだけの状態です。村の人口や周辺の人口の少なさが、そのまま集客の天井になっていました。

承継後は、広告とSNSを立ち上げ、遠くのお客さまへ直接届く導線を作りました。その結果が、前年同月比240%、最高月商1,100万円、SNS総フォロワー3万人超です。変えたのは届け方だけで、宿そのものの立地は変わっていません。

検索からも、ちゃんと見つかっている

広告とSNSだけでなく、検索からの流入も実際に育っています。直近28日間のデータでは、アクティブユーザー2,031人、新規ユーザー1,961人でした。このうち検索経由の流入は、全体の約57%を占めています。

Search Console側の数字で見ると、検索クリック568、表示回数6,023、平均クリック率9.43%、平均掲載順位9.92です。広告を止めても、検索から見つけてもらえる土台が育ちつつある、ということです。辺境の宿でも、検索エンジンの上では都市部の宿と同じ土俵に立てます。

なぜ辺境でも成り立ったのか

理由は、ひとつしかありません。届け方を変えただけです。特別な立地の魔法も、奇抜な企画もありませんでした。

これまでの宿は、予約サイト(OTA)や口コミなど、人づてに知られるのを待つ形が中心でした。それだと、村の人口や周辺の人口の少なさが、そのまま集客の限界になります。

私たちは、広告とSNSで、遠くにいるお客さまへ直接届ける形に変えました。広告は、村の外にいる「泊まりたい人」に直接届きます。SNSは、フォロワーという形で遠くの人ともつながり続けられます。

つまり、集客の範囲を「村の近くにいる人」から「日本中の泊まりたい人」に広げたということです。インターネットの上では、村と都市の距離は関係ありません。

広告は、距離を無視する

Web広告は、配信する地域を都道府県単位でも、日本全国でも自由に選べます。中心地から離れているという理由で、広告費が余分にかかるということはありません。私たちが月額30万円の広告費でROAS1,200%超を出せたのは、辺境だからではなく、狙う相手と届け方が合っていたからです。

SNSは、資産として積み上がる

広告は、止めれば流入も止まります。SNSのフォロワーは、そこに残り続けます。総フォロワー3万人超という数字は、毎回お金を払って届けた結果ではなく、一度届いた人が残り続けた結果です。辺境の宿ほど、この「残り続ける届け先」を持つ意味は大きいと考えています。

検索は、まだ知らない人を連れてくる

指名検索、つまり施設名を知っている人の検索は、すでに宿を知っている人からの流入です。私たちが大事にしているのは、施設名を知らない人がたどり着く検索です。検索経由の流入が全体の約57%を占めているのは、まだ知らない人にも見つけてもらえているということです。立地が村であることは、検索結果の順位には関係ありません。

「田舎だから無理」への違和感

公式サイトの理念ページには、こう書いています。「私たちは、まだ知られていない『本物』が、この国のいたるところに眠っていると信じています。ただ、情報の壁に閉ざされ、まだ世に届いていないだけ」。

続けてこうも書いています。「都心の理屈で地方を消費する動きに、私たちはずっと違和感を持ってきました。『田舎だから無理』と、可能性を摘む空気にも」。

この旅館は、140年の歴史を持つ宿でした。ただそれだけでは、廃業寸前という結果になっていました。足りなかったのは魅力ではなく、届き方だったと私たちは考えています。

辺境で事業を始める人が陥りやすい3つの罠

辺境や過疎地で事業を立て直そうとする時、私たちが実際に見てきた、つまずきやすいパターンを3つ共有します。対処法とセットでまとめます。

1
広告だけに頼り、SNSや検索を育てない。広告は、止めた瞬間に流入も止まります。広告費だけで集客を支えていると、広告費が上がった時や配信が止まった時に、売上がそのまま落ちてしまいます。対処法は、広告とSNS・検索を同時に育てることです。私たちが総フォロワー3万人超と検索経由57%の両方を持っているのは、広告が止まっても残る導線を意識してきたからです。
2
立地の弱みを、情緒的な言葉でごまかす。「秘境の宿」「知る人ぞ知る」といった言葉は、届く前提がある人には響きますが、まだ知らない人には何も伝わりません。対処法は、数字と事実で語ることです。この記事自体も、煽る言葉ではなく前年同月比240%・最高月商1,100万円という数字だけで組み立てています。
3
ひとりで抱え込み、体制を作らない。辺境の現場は、人手が集まりにくい環境です。オーナーひとりが広告もSNSも現場も背負うと、どこかで手が回らなくなります。対処法は、早い段階で仲間を集めることです。私たちは採用基準を「志・至誠・円融自在」の3つに絞り、少人数でも方向がぶれない体制を作っています。

これは特別な例外なのか

この旅館の結果は、たまたまの一例かもしれません。それを確かめるために、業種の違う自社事業でも同じ考え方を試しています。

スクール事業でも、同じ型で数字が動いた

私たちが運営するスクール事業では、広告費46万円で月商387万円を達成しました。旅館とは業種がまったく違いますが、狙う相手に直接届ける、という届け方の考え方は同じです。

北海道のホテルでも、1年で約6倍

北海道にあるホテルでは、1年で売上が約6倍になりました。この旅館とは別の地域、別の宿ですが、辺境という立地の条件は共通しています。ここでも、届け方を変えることが結果につながっています。

One Ismには、4つの柱からなるビジョンがあります。

1
自社で旅館を運営する。辺境でも勝てることを、まず自分たちで証明します。この旅館は、その1件目です。
2
型を他の宿へ広げる。この旅館で確認できた届け方の型を、他の地域の宿にも広げていきます。
3
地方の若者に挑戦の場を。地方に生まれても、挑戦をあきらめずに済む場所を作ります。
4
宿から地域全体へ。1軒の宿の成功を、地域全体の再興につなげていきます。

私たちが目指しているのは「日本で一番、地方に貢献する企業」になることです。この旅館の数字は、そのための第一歩の記録にすぎません。

この型が、他のどの地域でも同じように通用するとは言い切れません。それでも、旅館・スクール・北海道のホテルと、業種と地域を変えても同じ考え方で数字が動いている以上、少なくとも「田舎だから無理」だけを理由に、可能性を諦める必要はないと考えています。

よくある質問

過疎地の宿は、都市部の宿より不利ではないですか。

立地の不利は、たしかにあります。ただ私たちの経験では、届け方を変えれば埋められる差でした。この旅館は人口約6,000人ほどの村にありますが、広告とSNSで直接お客さまに届けることで、売上前年同月比240%を記録しています。

この結果は、どんな地域でも当てはまりますか。

地域や宿の状況によって、当てはまり方は変わります。この旅館の場合は、創業140年という歴史や全9室という規模が土台にありました。ただ「立地が中心地から離れているから無理」という理由だけで諦める必要はない、というのが私たちの実感です。

人口が少ない地域は、そもそも需要が少ないのではないですか。

宿の場合、需要はその土地に住む人の数ではなく、その土地を訪れたい人の数で決まります。この旅館があるのは、古くからの温泉地で、国立公園の中です。住んでいる人は少なくても、訪れたい人に届けられれば需要はあります。

広告費をかけなければ成り立ちませんか。

私たちは月額30万円の広告費で運用し、ROASは最高1,200%超でした。ただし広告だけに頼っていたわけではありません。SNSでの発信も並行し、総フォロワーは3万人を超えています。広告とSNSの両輪が、辺境というハンデを埋めました。

旅館以外の業種でも、同じ考え方は通用しますか。

私たちが運営するスクール事業では、広告費46万円で月商387万円を達成しています。北海道のホテルでは、1年で売上が約6倍になりました。業種と地域が違っても、狙う相手に直接届けるという考え方は共通して機能しています。

これはOne Ismだからできたことではないですか。

特別な魔法を使ったわけではありません。私たちがやったのは、広告とSNSで直接届ける仕組みを作っただけです。ただ、この型がこの旅館以外の地域でも通用するかは、まだ実証の途中です。だからこそ私たちは、自社で旅館を運営し続けています。

無料相談はこちら

地方・過疎地での事業運営や、旅館・宿の集客のご相談を承っています。自社の数字をもとに、次の一手をお伝えします。支援内容のくわしい説明は「旅館・宿の集客支援」のページをご覧ください。

ご相談は無料です。1営業日以内にご返信します。無理な営業はしません。

関連ページ