広告費30万円で、良いROASが出た。次に浮かぶのは「もっと増やしたら、もっと伸びるのでは」という考えです。ただ、ここで闇雲に増やすと、急に効率が落ちることがあります。私たちは創業140年の旅館を自ら運営しています。この記事では、増額のタイミング・上げ幅・様子見の期間を、実際にどう判断しているかをお伝えします。
ROASが良いと、つい「もっと増やしたい」と思うものです。ただ、ここで急いで増やすと、かえって効率を崩すことがあります。私たちはこの旅館の広告運用で、月30万円の広告費でROASが1,200%を超える月を経験しました。そのときに実際に使った、増額を判断する基準を先にお伝えします。
ここから、なぜ闇雲な増額が危険なのか、実際の判断基準の中身、そして増額したあとに何を見ているかを、順にお伝えします。
「ROASが良いなら、増やせば増やすほど伸びるはず」。そう考えたくなりますが、実際はそうなりません。広告費を増やすと、配信される対象が広がるからです。
最初に強く反応してくれるのは、限られた人数です。広告費を増やすと、その外側にいる、反応がやや弱い層にも配信が広がります。同じ広告でも、増やした分だけ効率が下がることがあります。
広告の配信システムには、学習期間があります。予算を大きく変えると、この学習が改めて始まり、数字が一時的に乱れることがあります。一般に、予算を一度に2割以上動かすと学習がリセットされやすいと言われています。私たちが2〜3割ずつという刻み方を守っているのは、この乱れをできるだけ小さくするためです。
ROASが高かったのは、季節や客室の空き状況など、他の条件がそろっていたからかもしれません。条件が変われば、同じ広告費でも結果は変わります。良かった時の数字を、そのまま将来に当てはめないようにしています。
広告費を増やすと、その分の支払いは先に発生します。売上が追いつく前に広告費だけが膨らむと、手元の資金繰りが苦しくなります。私たちは、増額の原資を「すでに積み上がった利益」からと決めています。まだ入っていない売上をあてにして、先に予算だけを増やすことはしません。
この旅館では、月額30万円の広告費で、ROASが1,200%を超える月が続いた時期がありました。そこで初めて、増額を検討しました。ここでは、その時に実際に見ていた基準と、具体的な数字の目安をお伝えします。
まず見るのは、ROASの継続週数です。1週だけ良くても、増やしません。少なくとも3〜4週間、同じ水準が続いていることを確認してから、次の判断に進みます。ROASの絶対値そのものより、「下がっていないこと」のほうを重く見ています。
旅館ならではの基準です。客室の数には上限があります。すでに満室に近い時期に広告費を増やしても、予約が増える余地がありません。増額の前に、直近1〜2か月の空室カレンダーを必ず確認します。埋まっていない部屋がある週だけが、増額の対象になります。
通年で増やすことはしません。埋めたい時期に絞って、そこに厚く配分します。同じ増額でも、閑散期に当てるか繁忙期の前に当てるかで、意味がまったく変わるからです。
条件がそろったら、実際に増やします。ただし一段ずつです。月30万円なら、最初は35〜39万円あたりまで。そこから2週間は、数字を見るだけで、それ以外は触りません。落ち着いてから、次の段階に進むかを決めます。
最後に確認するのは、お金の出どころです。まだ発生していない将来の売上をあてにして広告費を増やすと、資金繰りが崩れます。直近数か月で積み上がった利益の範囲内かどうかを、増額を実行する前に必ず確認しています。
感覚で増やしていた時期と、基準を決めてから増やした時期とでは、結果が変わりました。実際にあった変化を、Before/Afterの形でお伝えします。
ROASが良い月があると、その勢いのまま増額していました。1週間ほどの数字だけで判断してしまうこともありました。結果、増やした翌月にROASが急に落ち込み、なぜ落ちたのか分からないまま、慌てて予算を戻すことを繰り返していました。
いまは、ROASが数週間続いていること、埋めたい時期に空室があること、原資が積み上がった利益の範囲内であることの3つがそろってから、2〜3割ずつ増やします。増やしたあとの2週間は、数字を見るだけに徹します。こうした判断を積み重ねた結果、この旅館は前年同月比240%の売上、最高月商1,100万円を記録した月もあります。
増額の判断で、実際につまずきやすいポイントを3つ共有します。
増やして終わりではありません。増やしたあとこそ、数字を丁寧に見ます。私たちは週に1回、この4つの数字を確認し、2週間たった時点でまとめて次の判断をしています。
増額の前後で、ROASがどう動いたかを週単位で追います。一度下がっても、その後戻るなら問題ないと考えます。下がり続ける場合は、上げ幅を一段戻します。
予約1件あたりの広告費です。増額後にCPAがゆるやかに上がるのは、想定の範囲です。急に跳ね上がる場合は、配信対象が広がりすぎているサインと見ます。
同じ人に広告が表示された回数です。増額後にこの数値が急に高くなる場合、配信対象が狭いまま予算だけが増えている状態です。クリエイティブを増やすか、対象を見直します。
予約1件あたりの売上です。件数が増えても、単価が下がっていては、増額の意味が薄れます。件数と単価の両方を、あわせて確認します。
くわしい判断基準や、少額から始める手順は「旅館の広告費は月いくらが適正か」に書いています。この記事では、増やすかどうかの判断そのものに絞ってお伝えしました。
「継続を確認してから、少しずつ、様子を見ながら増やす」という型は、旅館以外の案件でも同じように効いています。
あるスクール事業の案件では、広告費46万円の運用で月商387万円を達成しました。ここでも、好調な週の数字をすぐに大きく動かすのではなく、継続を確認してから段階的に予算を積み増す進め方を取っています。
北海道のホテルの案件では、1年で売上が約6倍になりました。広告費だけを一気に増やすのではなく、客室という上限がある業態の特性を踏まえて、埋めたい時期に絞って予算を配分する考え方は、この旅館と共通しています。
業種が違っても、「増やす前に継続を確認する」「一気に倍にしない」「上限のある資源(客室・予約枠など)を見てから配分する」という3つの型は、そのまま使えます。
いいえ、単月の好調だけでは増やしません。同じ水準が複数週にわたって続いているかを、まず確認します。一度だけの良い数字は、たまたまの可能性があるからです。
一気に倍にはしません。2〜3割ずつ増やして、数字が崩れないかを確かめながら進めます。急な増額は、配信の安定を崩しやすいからです。
目安は2週間です。新しい予算での配信が落ち着くまで、判断を急ぎません。この期間にいじりすぎると、かえって数字が安定しなくなります。
まず、上げ幅を一段戻します。それでも戻らない場合は、客室の空き状況やクリエイティブなど、広告費以外の要因を疑います。増やすことだけが正解ではありません。
基本的には増やしません。客室数には上限があるので、満室に近い時期に広告費を増やしても、予約が増える余地がないからです。空室が多い時期に絞って配分するほうが、同じ広告費でも効果が出やすいと考えています。
週に1回、ROASや獲得単価などの数字を確認しています。増額の可否そのものは、2週間の様子見期間が終わったタイミングでまとめて判断します。毎日細かく判断を変えると、かえって数字が安定しません。
はい、同じです。増額の判断を任せきりにせず、根拠を聞くようにしてください。任せる部分と、自分で見る部分を分けておくと、増額のたびに迷わずに済みます。
いまの広告費を増やすべきか、様子を見るべきか。数字を一緒に確認しながら、判断のお手伝いをします。相談だけでも歓迎します。
ご相談は無料です。1営業日以内にご返信します。無理な営業はしません。