「数字が見える化」を
ゼロから作った記録(スプレッドシートから始まった話)

これから数字管理を始めたい。まだ何のツールも入れていない。そう感じている事業者へ向けて書いています。私たちも、最初から仕組みがあったわけではありません。手作業のスプレッドシートから始め、少しずつ自動化していった過程を、正直に記録として残します。

手作業のスプレッドシートから始めた数字管理のイメージ|中小企業のデータ活用の始め方
FIELD — RYOKAN / JAPAN  ·  私たちが運営する旅館

先に結論。最初から完璧を目指さなくていい

結論を先にお伝えします。数字の見える化は、いきなり高度な仕組みから始める必要はありません。

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私たちも、最初は手作業のスプレッドシートでした。自動化された仕組みは、後から少しずつ足していったものです。
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大事なのは、1つの数字を書き続けることです。多くの項目を並べるより、1つを続けるほうが、次につながります。
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自動化は、面倒に感じた部分から始めればいいです。全部を一気に自動化しようとすると、たいてい止まります。
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今の形になるまで、それなりの時間がかかっています。焦らなくていい、というのが、実際にやってきた実感です。

ここから先は、私たちがどこから始め、最初の表を実際にどう作り、何から手をつけ、どこでつまずき、どう時間をかけていったかを、順番に書きます。

最初は、手作業だった話

私たちは2023年7月に設立した会社です。資本金100万円、代表は大橋祐哉。設立当初から、創業140年の旅館を自社で運営しています。全9室の小さな宿です。

自社で旅館を運営しているのには理由があります。私たちが掲げているのは「自社で旅館を運営する→型を他の宿へ広げる→地方の若者に挑戦の場をつくる→宿から地域全体へ広げる」という4段階のビジョンです。他の宿に提案する前に、まず自分たちの宿で数字を見える化し、結果を出す必要がありました。よそで通用するかどうかも分からない方法を、人にすすめるわけにはいきません。

事業承継した当初、数字を見る仕組みは何もありませんでした。売上がいくらだったか、予約が何件入ったか。知りたいときは、予約台帳や領収書を、そのつど見返していました。振り返るたびに時間がかかり、正確な数字を出すだけで一苦労でした。

数字がない状態で判断していたのは、感覚と経験だけでした。今日は忙しかった、先月より部屋が埋まっている気がする。そうした肌感覚だけで、広告を増やすか減らすかを決めていた時期もあります。振り返ると、根拠のない判断がどれだけ多かったかに気づきます。

最初に用意したのは、表計算ソフトの、ただの1枚の表です。日付と、その日の売上だけを書く。それだけでした。特別な機能は、何も使っていません。

正直に言うと、始めた当初は、続くかどうか分かりませんでした。忙しい日は、書き忘れることもありました。それでも、書ける日に書く、を繰り返しました。

最初のスプレッドシートを、実際にどう作ったか

「スプレッドシートから始める」と言っても、何をどう作ればいいのか分かりにくいと思います。私たちが最初に作った表は、次の手順で作りました。難しい機能は、ひとつも使っていません。

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シートを1枚だけ用意する。列は「日付」「売上」の2列だけにします。最初から項目を増やさないことが、続けるための一番のコツです。
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毎日、決まったタイミングで1行だけ足す。私たちの場合は、その日の営業を締めたあと、レジや予約台帳を閉じる前に書く、と決めました。タイミングを固定しておくと、書き忘れが減ります。
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1週間分たまったら、SUM関数で合計を出す。「=SUM(B2:B8)」のような、ごく単純な数式だけで十分です。関数をたくさん覚える必要はありません。
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グラフ機能で、折れ線グラフを1つ作る。数字の並びだけを眺めるより、線が上がっているか下がっているかを見るほうが、ひと目で分かります。

この4つだけで、最初のスプレッドシートは十分に機能します。特別なテンプレートも、有料のツールも使っていません。表計算ソフトに最初から入っている機能だけで足ります。

何から手をつけたか

すべての数字を一度に管理しようとすると、たいてい続きません。私たちは、まず1つに絞りました。

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最初に選んだのは「売上」だけ。1日の終わりに、その日の売上を1つの表に書き込む。それだけを、まず毎日続けました。
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慣れてから「予約数」を足した。売上を書く習慣ができてから、予約数の列を隣に足しました。一気に増やさなかったのが、続けられた理由だと思います。
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広告費は、さらに後から加えた。広告を出し始めたタイミングで、費用の列を追加しました。数字が増えるたびに、見比べられる範囲も広がっていきました。

振り返ると、順番を間違えなかったことが大きかったと感じています。最初から全部を並べようとしていたら、途中でやめていたと思います。

Before/Afterで比べると、積み上げの意味が分かりやすくなります。

Before
最初の表は「日付」「売上」の2列だけでした。分かるのは、売上が伸びているか減っているかだけです。
After
数か月かけて「予約数」「広告費」を足した結果、「広告費に対して予約が何件取れたか」まで、同じ表の中で見比べられるようになりました。売上の増減だけでなく、何にお金を使った結果なのかが見える状態です。

よくあるつまずきと、その直し方

ここまで順調に進んだように書きましたが、実際にはつまずいた場面もあります。同じところで止まる方が多いと思うので、私たちが経験した3つを、直し方とあわせて共有します。

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項目を最初から増やしすぎて、続かなくなる。「売上」「予約数」「客単価」「広告費」「稼働率」……と、欲しい数字を最初から全部並べたくなります。しかし項目が多いと、毎日の記入そのものが負担になり、数日で止まります。私たちも一度、最初から5項目で始めようとして、1週間で止まった経験があります。直し方は単純で、1列まで削ることです。
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忙しい日に書き忘れて、そのまま止まる。書き忘れた日を、後から記憶で埋めようとすると、数字がずれます。正確でない数字は、かえって判断を誤らせます。直し方は、書き忘れた日は空欄のまま進めることです。埋め合わせをしないほうが、後で振り返ったときに正確です。
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数字を書くだけで、見返す習慣がなかった。書き続けているのに、一度も見返さないまま数か月が過ぎていた時期があります。書くことが目的になってしまい、判断にまったく使えていませんでした。直し方は、グラフを作って、週1回でも数字を眺める時間を決めることです。書くことと見ることは、分けて習慣化する必要があります。

少しずつ、自動化していった過程

手作業を続けるうちに、「毎回同じ手順を繰り返している」と気づく部分が出てきます。私たちは、そこから初めて自動化を考えました。

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まず、面倒だった転記作業をなくした。予約台帳の数字を、手で表に書き写す作業が一番の負担でした。ここを、決まった時間に自動で数字を拾う仕組みに置き換えました。
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次に、広告費の数字を自動で取り込んだ。広告の管理画面を毎回見に行く手間を減らし、決まった時間に自動で表へ反映されるようにしました。
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最後に、1枚のスプレッドシートへまとめた。売上・予約・広告費が、別々の場所にある状態から、同じ画面で見比べられる状態にしました。

使ったのは、追加の費用がかからない自動化ツールです。大がかりなシステムを新しく入れたわけではありません。使っていたスプレッドシートを土台に、面倒だった部分だけを置き換えていきました。この仕組みの中身については、関連記事「無料の自動化ツールだけで作った、広告と予約の見える化」に詳しく書いています。

同じ積み上げ方は、旅館以外の案件でも使っています。あるスクール事業では、広告費46万円に対して月商387万円という成果が出ていますが、この裏側にも、日々の数字を1つずつ積み上げて見る仕組みがありました。北海道のホテル案件では、支援を始めた時点で数字管理の仕組みがほとんどなく、同じようにまず売上を1つのシートに記録するところから始めています。1年で売上は約6倍まで伸びました。自社の旅館で作った型を、他の案件にもそのまま当てはめられることを、実際に確認できたということです。

今のレベルに至るまでの時間軸

ここまでの過程を、時系列でまとめます。特別に早く進めたわけではありません。

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最初の数か月。売上だけを、毎日手で書く。ここで、数字を見る習慣そのものを作りました。
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そこから数か月。予約数、広告費と、書く項目を少しずつ増やしました。焦らず、1つずつです。
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手作業に慣れたころ。転記の手間が負担になっていることに気づき、自動化を検討し始めました。
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自動化が定着したあと。検索エンジンからの流入も、同じ考え方で見るようになりました。今は直近28日間で、検索経由の流入が全体の約57%を占めていることまで把握しています。GA4とSearch Consoleをどう最低限の労力で見ているかは、別の記事「Search ConsoleとGA4を、非エンジニアの会社がどう使いこなしたか」に詳しく書いています。
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そして今。毎朝自動で数字がまとまり、ひらけば前日までの状況が分かる状態になっています。

この積み重ねの先に、売上・前年同月比240%、最高月商1,100万円という数字があります。広告費月額30万円の月で、最高ROAS1,200%を超えた月もありました。SNSの総フォロワーは3万人を超えています。仕組みが先にあったから数字が伸びたのではなく、数字を見続けたことが、次の一手につながったと感じています。

いま振り返ると、遠回りに見える手作業の期間こそ、何を見るべきかを見極める時間になっていました。最初から自動化していたら、見るべき数字を選び違えていたかもしれません。

よくある質問

数字管理は、何から始めればいいですか。

まずは1つの表にまとめることから始めるのをおすすめします。売上でも予約数でも構いません。毎日1つの数字を、決まった場所に書き続けるところが出発点です。

ツールを何も入れていませんが、大丈夫ですか。

はい、大丈夫です。私たちも、最初はツールを何も入れていませんでした。表計算ソフトだけで、手作業から始めています。ツールは後から足せます。

いきなり自動化しなくてもいいですか。

いいと思います。むしろ、いきなり自動化を目指さないほうがいいと私たちは考えています。まず手作業で数字を見る習慣を作り、面倒に感じた部分から自動化するほうが、遠回りに見えて確実です。

自動化には、どのくらいの期間がかかりましたか。

私たちの場合、手作業の期間だけで数か月かかりました。そこから少しずつ自動化を進め、今の形になるまでには、さらに時間をかけています。会社によって前提が違うため、期間は一概には言えません。

書き忘れた日の数字は、後から埋めたほうがいいですか。

埋めないことをおすすめしています。記憶を頼りに埋めると、数字がずれて、月末の比較が狂います。空欄のまま進めて、次の日からまた続けるほうが、結果として正確です。

何から自動化していけばいいか、相談できますか。

はい、ご相談いただけます。いま何を手作業でやっているかをお聞きしたうえで、どこから手をつけるべきか、一緒に整理します。

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数字管理をこれから始めたい、まず何からやればいいか分からない。そうしたご相談を承っています。手作業から自動化まで、私たち自身がたどった順番をもとにお話しします。データ基盤・ダッシュボード構築のくわしい説明は「サービス紹介」のページをご覧ください。

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