後継者がいない。赤字が続いている。体力的にもう限界かもしれない。そう感じて、廃業を考えている旅館のオーナーへ向けて書いています。私たちOne Ismは、地方で廃業寸前だった創業140年の旅館を、自ら事業承継した当事者です。廃業を決める前に、何を検討できるのかを、実感としてお伝えします。
いま苦しい状況にいる方に、長い前置きは要らないと思います。結論から先にお伝えします。廃業を決める前に、検討できることは主に6つです。順番に並べています。
ここから先は、私たちが一つの旅館と向き合った、実際の記録です。うまくいった話だけでなく、正直に苦労した部分も書きます。
日本各地の旅館では、後継者不在や体力的な限界を理由に、廃業を選ぶケースが増えています。これは、一つの宿だけの問題ではなく、業界全体が抱える課題です。私たちが実際に見聞きした範囲でも、廃業を考え始めるきっかけには、いくつか共通するサインがあります。
私たちが出会ったこの旅館も、こうしたサインが重なった状態にありました。地方の温泉地にある、創業140年、全9室の旅館です。私たちが関わり始めた時点で、この旅館は廃業寸前の状態でした。
ここで、経営の詳しい経緯には触れません。踏み込みすぎることは、誠実ではないと考えているからです。お伝えしたいのは、そこからどう考え、何をしたかという部分です。
最初にやったことは、感情で判断する前に、現状を数字で棚卸しすることでした。予約の状況、直近の売上、固定費の内訳を並べて見る。特別なことではありません。ただ、この棚卸しをしないまま「もう無理だ」と結論を出してしまう旅館は、実は少なくないと感じています。
その村は、人口およそ6,000人です。国立公園の中にあり、古くからの温泉地を抱えています。決して大きな観光地ではありません。私たちは、こうした「辺境」と呼ばれる場所でも、宿は再生できると考えました。
廃業と事業承継、どちらを選ぶべきかに、絶対の正解はありません。ただ、判断の材料になる基準は、いくつかに整理できます。私たちが実際に見た基準を挙げます。
私たちの場合、建物と温泉、地域とのつながりに価値を感じました。そして、引き継ぐ意思と体力が私たち側にありました。だからこそ、廃業ではなく事業承継という選択をしました。
廃業寸前の旅館に対して、私たちが検討したのは「事業承継」という選択肢でした。買い取って終わり、ではありません。自社で運営を引き継ぎ、経営そのものを担うという判断です。
正直に言うと、簡単な決断ではありませんでした。旅館業は、広告やWebの仕事とは違います。建物があり、お湯があり、地域との関わりがあり、簡単には後戻りできません。リスクを引き受ける覚悟が要ります。
私たちOne Ismは、2023年7月に設立した、資本金100万円の会社です。代表は大橋祐哉。地方創生とAIマーケティングの支援を仕事にしてきました。ただ、支援する側に立ち続けるだけでは、証明できないことがあると考えました。「地方から、日本を再興する」。それが、私たちのミッションです。
辺境と呼ばれる場所でも、宿は勝てる。それを、まず自分たちの手で証明する。それが、この旅館を事業承継した理由です。他の宿へこの型を広げていくためにも、自分たちが最初の実例になる必要がありました。
「事業承継」と一言で言っても、やることは多岐にわたります。私たちが実際にたどった順番を、なるべく具体的にお伝えします。
私たちには、4つの柱からなるビジョンがあります。①自社で旅館を運営する、②その型を他の宿へ広げる、③地方の若者に挑戦の場をつくる、④宿から地域全体へ広げる、という順番です。この旅館の事業承継は、その最初の一歩でした。
事業承継してからやったことは、特別な奇策ではありません。広告とSNSで自社集客の柱を作り、公式LINEでリピーターとのつながりを残し、数字が見える状態を整えました。地道な積み重ねです。
承継した直後の状態と、積み重ねた後の状態を比べると、変化がはっきり分かります。承継直後は、稼働率が低迷し、広告費をかけても反応が薄い時期が続きました。そこから、集客の柱を複数持つ体制に切り替え、数字を毎週見る運用に変えたところ、次の結果につながりました。
広告費は月額30万円で、ROASは最高1,200%超を記録しました。廃業寸前だった宿でも、正しい順番で手を打てば、数字は動きます。これは、私たちにとって希望でもあります。
この「型」は、この旅館だけのものではありません。私たちが同じ考え方で関わった他の事業でも、近い結果が出ています。
くわしい取り組みの中身は、関連記事「旅館の集客方法まとめ」に書いています。この記事では、集客の手順ではなく、廃業か承継かという入口の話に絞ります。
私たちが実際に経験した、あるいは近くで見てきた、事業承継でつまずきやすいポイントを3つ共有します。合わせて、私たちが取った対処法も書きます。
ここまで、うまくいった話を中心に書きました。ただ、正直に言うと、承継した直後から順調だったわけではありません。
事業承継したからといって、すぐに売上が上向くわけではありませんでした。何から手をつけるべきか整理するだけでも、時間がかかりました。今日いいと思ってやったことが、翌週には違う課題に変わっている。そんな日々が続きました。
それでも、数字を毎週見る習慣だけは崩しませんでした。動きが見えない時期でも、見える化を続けたことが、後の240%につながったと感じています。
廃業は、決して逃げではありません。長く続けてきた宿を、次の世代に負担を残さない形で終える。それも、誠実な選択の一つです。
ただ、廃業を決める前に、事業承継という選択肢を一度でも検討したかどうかは、後になって大きな違いになると思います。私たちは、検討した先に、宿を残すことができました。
もし、いま同じような状況にいるなら、どちらを選ぶにしても、一人で抱え込まないでほしいと思います。私たちは、廃業寸前の旅館を実際に引き継いだ側として、お話しできることがあります。
はい、大丈夫です。承継するかどうかを決めていない段階のご相談も承っています。私たち自身、承継の前に多くのことを検討しました。まずは現状をお聞かせください。
感情で決める前に、まず現状を数字で棚卸しすることをおすすめします。そのうえで、事業承継という選択肢があるかどうかを確認します。廃業と承継は、両方とも重い決断です。比べたうえで選ぶ価値があります。
後継者不在は、多くの旅館が抱える課題です。親族に限らず、外部への事業承継という選択肢もあります。私たちも、そうした形でこの旅館を引き継ぎました。まずは可能性があるかどうかを一緒に確認します。
はい、相談いただけます。赤字であること自体は、珍しいことではありません。大切なのは、赤字の理由が何かです。理由によっては、立て直せる場合もあります。まずは数字を見せてください。
いいえ、強制はしません。相談したうえで、廃業を選ばれても構いません。私たちがお伝えできるのは、選択肢と、当事者としての実感だけです。決めるのは、いつもオーナーご自身です。
ケースによって差がありますが、現状の棚卸しから、集客の土台を作り直すところまで含めると、数ヶ月単位で考えていただくのが実感に近いです。契約の手続きだけで済む話ではなく、承継後の運用まで含めて「承継」だと考えています。
一概には言えません。廃業には廃業の費用(原状回復や清算の手続きなど)がかかりますし、承継には承継の費用(引き継ぎや集客の立て直し)がかかります。金額の比較だけでなく、どちらが後悔の少ない選択かも合わせて考える価値があります。
廃業を考える前の事業承継のご相談、現状の棚卸しのご相談を承っています。私たち自身が事業承継の当事者として、実感をもとにお話しします。支援内容のくわしい説明は「旅館・宿の集客支援」のページをご覧ください。
ご相談は無料です。1営業日以内にご返信します。無理な営業はしません。