自社で運営する旅館に、スタッフ用の「マイページ」と管理者用の「帳場」という2つの画面を作りました。この記事では、それぞれの画面を1つずつ開きながら、何ができて、何を大事にして設計したかを詳しく説明します。実際の画面もあわせてご覧いただけます。
紙のシフト表とホワイトボードで回していた現場に、2つの画面を持ち込みました。スタッフ側から見た変化と、管理者側から見た変化は、それぞれ違います。
マイページは、スタッフ一人ひとりの「自分専用の仕事ページ」です。他の人には自分の分しか見えません。
出勤したら、まずこのタブを開きます。
今日の大事な注意事項があれば赤枠で目立つように表示され、その下にその日の時間割が並びます。
決められた仕事の上に、自発的にやったことの層を重ねられるようにするのが狙いです。「できればお願いリスト」は、支配人からの「できればこれも」を並べておき、早い者勝ちで引き受けられる仕組みです。
その日のタスクを全部終えると、画面に花丸が出ます。
出勤の最後に、この画面で日報を書きます。項目は4つに絞ってあります。
感謝カードを贈る側にも少しポイントが付くようにしているのは、贈ること自体を後押ししたいからです。ただし、贈って加点されるのは1日1枚までに制限しています。
タスク完了・花丸・日報の提出・感謝カードのやり取りで貯まったポイントは、この画面で確認し、景品と交換できます。
1人では届かない大きな景品には、複数人が少しずつ拠出して届ける「合算」の仕組みも用意しました。「一人では届かない、ごほうびに、みんなで届く」という考え方です。
参加者の名前は見えますが、個々の拠出額は本人と管理者以外には見えないようにしています。比較や同調圧力が生まれないようにするためです。
できる仕事の幅が広がると、次の段階の仕事が解放される4段階のレベル制も入れています。清掃や配膳といった基本の仕事から、フロントや設備管理、さらにその先の企画やシフト管理まで、段階を追って任せられる範囲を広げていく設計です。
自分の出勤日をカレンダーで確認できます。来月の出勤希望も、このタブの中で完結して提出できます。
ランキング機能も用意していますが、上位3人だけを表示し、4位以下は表示しない設計にしています。数字で全員を並べてしまうと、事情があって思うように働けない人の居場所がなくなってしまう、と考えたからです。
帳場は、支配人や管理者が旅館全体を見渡すための画面です。閲覧だけなら誰でもできますが、部屋割りやタスクの編集といった操作は管理者用のリンクからのみ行えます。
開いた瞬間に、稼働率、宿泊と日帰りの組数、その日の売上見込みが並びます。
その日から翌日にかけての担当ブロックを、この画面から編集できます。誰かが急に休んだ時は、残っているタスクを他のスタッフのカードへ付け替える操作も、この画面から数秒でできます。
よく使う型は「テンプレ」として登録してあり、テンプレから流し込むだけで新しい担当ブロックを作れます。
当日・翌日・数日先の部屋割りを、確定・準確定・仮の3段階に分けて確認できます。
シフトの充足状況も向こう1〜2週間分を見渡せて、人手が足りない日は目立つ表示になります。
日々の日報やスタッフの投稿から拾われた気づきが、ここに集まります。「困りごと」は解決したら消し込める設計にしていて、対応漏れが埋もれないようにしています。
この画面を作る時、私たちが最初に決めた考え方があります。「私たちは管理者であって、監視者ではない」というものです。
この4つを、画面を作るより先に決めました。画面や機能は後からいくらでも直せますが、この考え方だけは変えない、と決めています。
数字を集める仕組みを作ると、集めた数字で人を評価したくなる誘惑が必ず出てきます。私たちは、その誘惑に流されない設計を、最初の段階で仕込んでおくことが大事だと考えています。
公開する画面を作る過程で、実際に反省すべき出来事もありました。使い方ガイドのスクリーンショットを撮影していた際、一度、内部限定で使っている合言葉がそのまま画面に写り込んでいたことがあります。
公開する前に気づいて修正しましたが、以後は撮影の仕組み自体に、機密が写り込む部分を自動でマスクする処理を組み込みました。
この経験から、「公開する画面には、秘密が写っていないか人の目で確認してからでないと出さない」という工程を、標準の作業手順として定着させました。
便利さを追いかけるほど、こうした見落としは起きやすくなります。仕組みを作る速さと同じくらい、公開前の確認を丁寧に行うことを大事にしています。
査定の資料としては使っていません。ポイントやランキングは「褒める口実」として位置づけていて、数字が悪いことを責める材料にはしない、と決めて設計しています。上位だけを見せて下位を晒さないのも同じ理由です。
「監視されている」と感じさせない設計を最初から意識しました。自分のページには自分の分しか表示されないこと、ランキングは上位のみで下位を晒さないことなど、安心して使える工夫を重ねています。
はい。クラウドの土台の上に、自社で設計・実装しました。仕様が固まっていない部分も多かったため、実際に運用しながら1〜2週間単位で機能を直していく進め方をとっています。
はい。個人ページとダッシュボードという構成自体は、シフト制で働くスタッフがいる現場であれば業種を問わず応用できます。私たちのAI導入支援では、この型をベースに御社の業務に合わせて設計します。
シフト表や日報が紙とホワイトボードのまま止まっている現場のご相談を承っています。私たちが自社の旅館で実際に運用している型をもとに、御社の業務に置き換えてお話しします。支援内容のくわしい説明は「AI導入・業務効率化支援」のページをご覧ください。
ご相談は無料です。1営業日以内にご返信します。無理な営業はしません。