旅館・ホテルのOTA運用手順(掲載先の決め方と、平日・閑散期・連泊のプランの作り方)

楽天トラベルやじゃらんのように、インターネットで宿を探してそのまま予約できるサイトを、OTAと呼びます。この記事は、OTAを運用する担当者に向けた手順です。掲載先の決め方とプランの作り方に加えて、在庫を1か所にまとめる方法も書きます。9つの施策の全体と立ち上げる順番は、「旅館・ホテルの集客方法9つと、立ち上げる順番|長野と北海道の宿でやっている全手順」にまとめています。

旅館・ホテルのOTA運用手順(掲載先の決め方と、平日・閑散期・連泊のプランの作り方)
FIELD — RYOKAN / JAPAN  ·  松川館
この記事の要点
1
予約サイトはまだ宿を知らない人と出会う入口として使い、2回目からは直販で迎えます。
2
掲載先は、先月の予約数と手数料の金額を掲載先ごとに並べてから決めます。
3
平日・閑散期・連泊のプランは値引きから入らず、空いている日だからできる過ごし方で作ります。

予約サイトは新規の入口、2回目からは直販で迎える

予約サイトは、まだ宿を知らない人に見つけてもらう入口になります。宿の名前を知らない人でも、地域と日付で探すと一覧に宿が出てくるからです。

その代わり、予約が1件入るごとに手数料を払います。手数料の率は契約によって変わり、クーポンや広告枠の費用まで積むと、合わせて30%を超えることもあります。

観光地から離れた宿は、一覧で見てもらえる回数がそもそも多くありません。見てもらえないまま空室が続くと、残る打ち手は値下げくらいです。

私たちは、手数料を「初めてのお客様と出会うための入口の対価」として扱います。入口の対価を払うのは1回目の予約までにして、2回目からは直販で迎えます。

直販とは、予約サイトを通さずに公式サイトや電話で直接いただく予約のことです。予約サイト経由の予約では、次のご案内を送るための連絡先が、宿の手元に残りにくいものです。

そこで私たちは、滞在中に公式LINEに登録していただき、次の予約を公式サイトでお受けする流れを作ります。

公式LINEは、宿がLINEでお知らせを送れるアカウントです。流れは、次の4段です。

1
予約サイトで宿を見つけていただく。1回目の予約は、手数料を払って予約サイトでお受けします。
2
宿に泊まっていただく。お部屋の案内やチェックインのときに、公式LINEのことをお伝えします。
3
滞在中に公式LINEに登録していただく。登録していただいた方に、季節のお知らせや空室の案内を送れるようになります。
4
2回目は公式サイトから予約していただく。公式LINEのお知らせから、公式サイトの予約ページへご案内します。

予約サイトを減らす話と手数料の計算はほかの記事に譲り、ここから先は予約サイトを運用する側の手順を書きます。

予約の90%近くが予約サイト経由の宿は、珍しくない

無料相談で宿の方からお話を伺うと、予約の大半が予約サイト経由という宿によく出会います。私たちが伺った範囲では、90%近くが予約サイト経由という宿も珍しくありません。

そうした宿の中には、予約が1つの予約サイトに偏っている宿もあります。公式サイトの予約の仕組みづくりが途中で止まっている宿も、多く見かけます。

1つの予約サイトに頼っている宿は、表示の順番や手数料の条件が変わったときに打てる手が少なくなります。掲載先とプランと在庫の管理を、宿の側で決めておくことが運用の出発点です。

私たちが予約サイトの運用で出した成果は、お見せできる記録がまだそろっていないため、この記事には数字を載せていません。

代わりに、掲載先とプランと在庫を整える手順を書きます。下の表から、いまの宿の状態に近いものを選んで読んでください。

いまの宿の状態 読むところ
予約の大半が、1つの予約サイトから入っている 楽天・じゃらんの予約数を並べて、掲載先を決める
平日や閑散期の空室が埋まらない 平日・閑散期・連泊の3つのプランを作る
予約が入るたびに、予約サイトごとに空室を手で直している 在庫はサイトコントローラーで1か所にまとめる
リピーターのお客様も、次は予約サイトから予約している 予約サイトは新規の入口、2回目からは直販で迎える

楽天・じゃらんの予約数を並べて、掲載先を決める

掲載先を増やすか減らすかは、それぞれの予約の数を見て決めます。まず、先月の予約を1枚の表に並べます。

楽天トラベル・じゃらんのほかに載せている予約サイトがあれば、その数だけ行を足します。公式サイトと電話の予約も、比べるために同じ表に入れます。

掲載先 予約数 売上 手数料の金額 1予約あたりの手数料
楽天トラベル 件 円 円 円
じゃらん 件 円 円 円
そのほかの予約サイト 件 円 円 円
公式サイト 件 円 円(決済などの手数料) 円
電話・メール 件 円 円 円

※記入用の表です。自分の宿の数字を、下の手順で埋めてください。

1
予約数と売上を並べる。管理画面の実績から、先月の予約数と売上を掲載先ごとに写します。先月だけでは季節の偏りが入るので、前の年の同じ月の予約も横に並べます。
2
手数料を1予約あたりの金額に直す。手数料の金額を予約数で割り、1予約でいくら払っているかを出します。
3
予約の入っていない掲載先を見直す。予約がほとんど入らない予約サイトは、すぐにやめずに、まずプランと写真を直します。直しても予約が入らないままなら、手数料の金額と更新の手間をあわせて見て、掲載をやめる候補に入れます。
4
まだ載せていない予約サイトを足すかを決める。足すのは、空室を1か所で管理できるようになってからにします。掲載先が多いほど、空室の直し忘れが起きやすくなるからです。
5
契約は宿の名義で結ぶ。運用を外に頼む場合も、予約サイトとの契約は宿の名義にします。宿の名義なら、外への依頼をやめたあとも管理画面と予約の実績が手元に残ります。

見直す順番は、手数料の金額が大きいわりに予約数が少ない掲載先からにします。

手数料は、率のままより金額で見るほうが判断しやすくなります。たとえば1泊2万円の予約で手数料を15%と仮定すると、1予約あたり3,000円です。

金額から広告費の上限まで出す計算は、「OTAの手数料は1予約あたりいくら消えているか|粗利から逆算する計算」に書いています。

平日・閑散期・連泊の3つのプランを作る

週末は埋まるのに平日が空くという悩みを、宿の方からよく伺います。空いている日を埋めるプランは、値引きから入らないことをおすすめします。

単価が下がると1予約で残るお金が減り、広告にかけられる上限まで下がるからです。値引きの代わりに、空いている日だからできる過ごし方で差をつけます。

プラン 届けたい相手 変えるもの(例)
平日のプラン 平日にお休みを取れる方、記念日を平日にずらせる方 お風呂を貸切で使える時間を広げる。チェックアウトの時刻を遅くする。
閑散期のプラン 混み合う時期を避けて、静かに過ごしたい方 その季節の景色や食材を、プランの名前と中身に入れる。夕食の時間を選べるようにする。
連泊のプラン 連泊で、ゆっくり過ごしたい方 2泊目の夕食を、1泊目と違う献立にする。周辺の歩き方をまとめた案内をお渡しする。

※変えるものは例です。満室の週末には出せず、空いている日なら無理なく出せるものに置き換えてください。

1
稼働率を平日と週末に分けて出す。予約台帳を曜日で分けると、どの日が弱いのかが見えます。
2
届けたい相手を1つに決める。全員に向けたプランは、誰にも選ばれにくくなります。
3
プランを1本作り、予約サイトと公式サイトの両方に載せる。公式サイトにも同じプランを載せておくと、2回目の予約を直販でお受けできます。

稼働率を平日と週末に分けて出す方法は、「旅館の稼働率は何%あれば黒字になるのか|自分の宿の採算ラインを出す手順」に書いています。

私たちが2026年に引き継いだ松川館は営業再開の準備中のため、平日のプランの結果もまだ数字でお伝えできません。

在庫はサイトコントローラーで1か所にまとめる

予約サイトを複数使う宿は、1室売れるたびにほかの予約サイトの空室も直す必要があります。手で直していると、直し忘れたときに同じ部屋へ予約が重なるダブルブッキング(二重予約)が起きます。

サイトコントローラーは、複数の予約サイトの空室と料金を1か所で管理する仕組みです。1室売れると、ほかの予約サイトの空室も自動で減ります。

予約まわりの仕組みは、サイトコントローラーを含めて3つに分かれています。

仕組み やること
予約エンジン 公式サイトで、お客様から直接予約を受けます。プランの見せ方もここで作ります。
サイトコントローラー 複数の予約サイトへ、空室と料金をまとめて配ります。
PMS 部屋割り・清掃の手配・精算など、館内の仕事をまとめて扱います。
予約エンジン・サイトコントローラー・PMSの役割分担を示した図。自社サイトの予約を受ける予約エンジン、複数の予約サイトの在庫をまとめるサイトコントローラー、館内のフロント業務を担うPMSの3つに分かれている

サイトコントローラーを選ぶときは、機能の多さより次の3つを見ます。

1
主力の予約サイトが安定してつながるか。無料で試せる期間に在庫を1室だけ変えて、主力の予約サイトに反映されるかを自分の目で確かめます。
2
予約エンジン・PMSと役割を分けられるか。公式サイトで予約が入ったときに、予約サイトの空室も自動で減るかを確かめます。
3
現場が毎日使えて、合わなければやめられるか。毎日画面を触る現場の担当者に試してもらい、初期費用や契約の縛りが軽いかもあわせて見ます。

予約サイトを急にやめると、新規の入口が消える

手数料が重いと、予約サイトをやめたくなります。急にやめると、まだ宿を知らない人に見つけてもらう入口が消えます。

予約サイトは残したまま、直販の割合を少しずつ上げていく順番をおすすめします。掲載先を減らすのは、やめても困らない状態を先に作ってからです。

予約サイトまわりで、ほかに気をつけたいつまずきは次の3つです。

1
公式サイトのトップに、予約サイトのバナーを並べる。公式サイトまで来たお客様を、自分で手数料のかかる予約に案内することになります。公式サイトの予約ボタンは、自社の予約システムにつなぎます。
2
掲載先を一度に増やす。掲載先が増えるほど空室の直し忘れが起きるので、サイトコントローラーで空室をまとめてから1つずつ足します。
3
空室を値引きで埋める。1予約で残るお金が減り、広告にかけられる上限も下がります。値引きより先に、平日や閑散期のプランを作ってください。

公式サイトに予約の仕組みがない宿は、先に公式サイトを整える

公式サイトに予約の仕組みがない宿には、2回目を直販で迎える先がありません。この場合は掲載先やプランの見直しより先に、事前決済までできる予約の仕組みを公式サイトに入れます。

OTA運用のチェックリスト

□
先月の予約を、掲載先ごとに1枚の表に並べた
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手数料を、1予約あたりの金額に直した
□
予約の入っていない掲載先の扱いを決めた
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予約サイトとの契約が宿の名義になっているかを確かめた
□
平日・閑散期・連泊のうち、1つのプランを作った
□
サイトコントローラーで、空室を1か所にまとめた
□
泊まった方に公式LINEへ登録していただく流れを作った
□
公式サイトのトップに、予約サイトのバナーを並べていない

資料「脱OTAの全手順|宿の自社集客 9つの実践マニュアル」は、全体の進め方・公式サイト・検索対策・Googleマップ・SNS・公式LINE・広告・メディアPR・計測の9章でできています。チェックリスト70項目を含む全31ページを、印刷できるPDFでお送りします。

よくある質問

OTAとは何ですか。

楽天トラベルやじゃらんなどの、インターネットの宿泊予約サイトのことです。Online Travel Agentの略です。宿の情報を載せておき、予約が入るたびに手数料を払う仕組みが一般的です。

OTAには、いくつ掲載すればよいですか。

数で決めずに、先月の予約を掲載先ごとに並べてから決めます。予約の入っていない掲載先を見直し、空室を1か所で管理できるようになってから足すのが安全です。

OTAの手数料は、どのくらいかかりますか。

手数料の率は契約によって変わり、クーポンや広告枠の費用まで積むと、合わせて30%を超えることもあります。率のままではなく、1予約あたりの金額で見てください。1泊2万円の予約で手数料を15%と仮定すると、1予約あたり3,000円です。

OTAをやめて、直販だけにできますか。

急にやめることは、おすすめしません。まだ宿を知らない人に見つけてもらう入口が消えるからです。直販の割合を少しずつ上げて、やめても困らない状態を先に作ります。

サイトコントローラーは必要ですか。

予約サイトを複数使うなら、入れることをおすすめします。1室売れたときにほかの予約サイトの空室も自動で減るので、二重予約を防げます。

予約サイトとの契約は、誰の名義にすればよいですか。

運用を外に頼む場合も、予約サイトとの契約は宿の名義で結びます。外への依頼をやめたあとも、管理画面と予約の実績が宿の手元に残るからです。

無料相談はこちら

掲載先の見直しや、平日・閑散期・連泊のプランづくりのご相談を承っています。支援の内容は、「旅館・ホテルの集客支援|OTA・公式サイト・SNS・広告など9つの施策を1社で運用」のページをご覧ください。

ご相談は無料です。Zoomで1時間ほど、お話を伺います。相談だけで終えていただいて構いません。

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