楽天トラベルやじゃらんのように、インターネットで宿を探してそのまま予約できるサイトを、OTAと呼びます。この記事は、OTAを運用する担当者に向けた手順です。掲載先の決め方とプランの作り方に加えて、在庫を1か所にまとめる方法も書きます。9つの施策の全体と立ち上げる順番は、「旅館・ホテルの集客方法9つと、立ち上げる順番|長野と北海道の宿でやっている全手順」にまとめています。
予約サイトは、まだ宿を知らない人に見つけてもらう入口になります。宿の名前を知らない人でも、地域と日付で探すと一覧に宿が出てくるからです。
その代わり、予約が1件入るごとに手数料を払います。手数料の率は契約によって変わり、クーポンや広告枠の費用まで積むと、合わせて30%を超えることもあります。
観光地から離れた宿は、一覧で見てもらえる回数がそもそも多くありません。見てもらえないまま空室が続くと、残る打ち手は値下げくらいです。
私たちは、手数料を「初めてのお客様と出会うための入口の対価」として扱います。入口の対価を払うのは1回目の予約までにして、2回目からは直販で迎えます。
直販とは、予約サイトを通さずに公式サイトや電話で直接いただく予約のことです。予約サイト経由の予約では、次のご案内を送るための連絡先が、宿の手元に残りにくいものです。
そこで私たちは、滞在中に公式LINEに登録していただき、次の予約を公式サイトでお受けする流れを作ります。
公式LINEは、宿がLINEでお知らせを送れるアカウントです。流れは、次の4段です。
予約サイトを減らす話と手数料の計算はほかの記事に譲り、ここから先は予約サイトを運用する側の手順を書きます。
無料相談で宿の方からお話を伺うと、予約の大半が予約サイト経由という宿によく出会います。私たちが伺った範囲では、90%近くが予約サイト経由という宿も珍しくありません。
そうした宿の中には、予約が1つの予約サイトに偏っている宿もあります。公式サイトの予約の仕組みづくりが途中で止まっている宿も、多く見かけます。
1つの予約サイトに頼っている宿は、表示の順番や手数料の条件が変わったときに打てる手が少なくなります。掲載先とプランと在庫の管理を、宿の側で決めておくことが運用の出発点です。
私たちが予約サイトの運用で出した成果は、お見せできる記録がまだそろっていないため、この記事には数字を載せていません。
代わりに、掲載先とプランと在庫を整える手順を書きます。下の表から、いまの宿の状態に近いものを選んで読んでください。
| いまの宿の状態 | 読むところ |
|---|---|
| 予約の大半が、1つの予約サイトから入っている | 楽天・じゃらんの予約数を並べて、掲載先を決める |
| 平日や閑散期の空室が埋まらない | 平日・閑散期・連泊の3つのプランを作る |
| 予約が入るたびに、予約サイトごとに空室を手で直している | 在庫はサイトコントローラーで1か所にまとめる |
| リピーターのお客様も、次は予約サイトから予約している | 予約サイトは新規の入口、2回目からは直販で迎える |
掲載先を増やすか減らすかは、それぞれの予約の数を見て決めます。まず、先月の予約を1枚の表に並べます。
楽天トラベル・じゃらんのほかに載せている予約サイトがあれば、その数だけ行を足します。公式サイトと電話の予約も、比べるために同じ表に入れます。
| 掲載先 | 予約数 | 売上 | 手数料の金額 | 1予約あたりの手数料 |
|---|---|---|---|---|
| 楽天トラベル | 件 | 円 | 円 | 円 |
| じゃらん | 件 | 円 | 円 | 円 |
| そのほかの予約サイト | 件 | 円 | 円 | 円 |
| 公式サイト | 件 | 円 | 円(決済などの手数料) | 円 |
| 電話・メール | 件 | 円 | 円 | 円 |
※記入用の表です。自分の宿の数字を、下の手順で埋めてください。
見直す順番は、手数料の金額が大きいわりに予約数が少ない掲載先からにします。
手数料は、率のままより金額で見るほうが判断しやすくなります。たとえば1泊2万円の予約で手数料を15%と仮定すると、1予約あたり3,000円です。
金額から広告費の上限まで出す計算は、「OTAの手数料は1予約あたりいくら消えているか|粗利から逆算する計算」に書いています。
週末は埋まるのに平日が空くという悩みを、宿の方からよく伺います。空いている日を埋めるプランは、値引きから入らないことをおすすめします。
単価が下がると1予約で残るお金が減り、広告にかけられる上限まで下がるからです。値引きの代わりに、空いている日だからできる過ごし方で差をつけます。
| プラン | 届けたい相手 | 変えるもの(例) |
|---|---|---|
| 平日のプラン | 平日にお休みを取れる方、記念日を平日にずらせる方 | お風呂を貸切で使える時間を広げる。チェックアウトの時刻を遅くする。 |
| 閑散期のプラン | 混み合う時期を避けて、静かに過ごしたい方 | その季節の景色や食材を、プランの名前と中身に入れる。夕食の時間を選べるようにする。 |
| 連泊のプラン | 連泊で、ゆっくり過ごしたい方 | 2泊目の夕食を、1泊目と違う献立にする。周辺の歩き方をまとめた案内をお渡しする。 |
※変えるものは例です。満室の週末には出せず、空いている日なら無理なく出せるものに置き換えてください。
稼働率を平日と週末に分けて出す方法は、「旅館の稼働率は何%あれば黒字になるのか|自分の宿の採算ラインを出す手順」に書いています。
私たちが2026年に引き継いだ松川館は営業再開の準備中のため、平日のプランの結果もまだ数字でお伝えできません。
予約サイトを複数使う宿は、1室売れるたびにほかの予約サイトの空室も直す必要があります。手で直していると、直し忘れたときに同じ部屋へ予約が重なるダブルブッキング(二重予約)が起きます。
サイトコントローラーは、複数の予約サイトの空室と料金を1か所で管理する仕組みです。1室売れると、ほかの予約サイトの空室も自動で減ります。
予約まわりの仕組みは、サイトコントローラーを含めて3つに分かれています。
| 仕組み | やること |
|---|---|
| 予約エンジン | 公式サイトで、お客様から直接予約を受けます。プランの見せ方もここで作ります。 |
| サイトコントローラー | 複数の予約サイトへ、空室と料金をまとめて配ります。 |
| PMS | 部屋割り・清掃の手配・精算など、館内の仕事をまとめて扱います。 |
サイトコントローラーを選ぶときは、機能の多さより次の3つを見ます。
3つの基準の詳しい確かめ方は、「小さな宿がサイトコントローラーを選ぶときの3つの基準|予約エンジン・PMSとの役割分担から考える」に書いています。
手数料が重いと、予約サイトをやめたくなります。急にやめると、まだ宿を知らない人に見つけてもらう入口が消えます。
予約サイトは残したまま、直販の割合を少しずつ上げていく順番をおすすめします。掲載先を減らすのは、やめても困らない状態を先に作ってからです。
予約サイトまわりで、ほかに気をつけたいつまずきは次の3つです。
公式サイトに予約の仕組みがない宿には、2回目を直販で迎える先がありません。この場合は掲載先やプランの見直しより先に、事前決済までできる予約の仕組みを公式サイトに入れます。
資料「脱OTAの全手順|宿の自社集客 9つの実践マニュアル」は、全体の進め方・公式サイト・検索対策・Googleマップ・SNS・公式LINE・広告・メディアPR・計測の9章でできています。チェックリスト70項目を含む全31ページを、印刷できるPDFでお送りします。
楽天トラベルやじゃらんなどの、インターネットの宿泊予約サイトのことです。Online Travel Agentの略です。宿の情報を載せておき、予約が入るたびに手数料を払う仕組みが一般的です。
数で決めずに、先月の予約を掲載先ごとに並べてから決めます。予約の入っていない掲載先を見直し、空室を1か所で管理できるようになってから足すのが安全です。
手数料の率は契約によって変わり、クーポンや広告枠の費用まで積むと、合わせて30%を超えることもあります。率のままではなく、1予約あたりの金額で見てください。1泊2万円の予約で手数料を15%と仮定すると、1予約あたり3,000円です。
急にやめることは、おすすめしません。まだ宿を知らない人に見つけてもらう入口が消えるからです。直販の割合を少しずつ上げて、やめても困らない状態を先に作ります。
予約サイトを複数使うなら、入れることをおすすめします。1室売れたときにほかの予約サイトの空室も自動で減るので、二重予約を防げます。
運用を外に頼む場合も、予約サイトとの契約は宿の名義で結びます。外への依頼をやめたあとも、管理画面と予約の実績が宿の手元に残るからです。
掲載先の見直しや、平日・閑散期・連泊のプランづくりのご相談を承っています。支援の内容は、「旅館・ホテルの集客支援|OTA・公式サイト・SNS・広告など9つの施策を1社で運用」のページをご覧ください。
ご相談は無料です。Zoomで1時間ほど、お話を伺います。相談だけで終えていただいて構いません。